2021.12.13 浜岡原発第31回口頭弁論

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2021.12.13 浜岡原発第31回口頭弁論

中部電力からの準備書面(23)の説明。安全性向上対策工事の説明。規制委員会の審査(6/4、7/16)状況の説明。

原告から準備書面(34)(35)の説明。
 阿部弁護士;準備書面(34)の内容の説明。H断層関係の規制委員会の審査状況を説明したもの。H-9断層とBF4に関して審査がされている。
 H断層に関しては、原発の重要施設の地下にH1~5までの断層がある。このH断層が12~13万年以降に動いたことが否定できない活断層であれば、浜岡原発の再稼働は許されない。活断層の動いた年代を推定する方法としては、被告中部電力は、断層の上に載っている地層を切っているかどうかという手法を用いている。
 しかし、原発の地下を走っているH1~5の断層についてはその上に載っている地層は存在しない。従って上載地層法という方法をとることができない。そこでH9断層の上に載っている泥層に着目する。そのためには、H1~9の断層が同じ時期にできたかどうかが前提となる。その点は、規制委員会では最終的には了解されていない。
 H9断層の上に載っている泥層が12~13万年前以降にできたと言えるかどうかが大問題となる。中部電力は、H9断層の上に載っているBF4泥層が、古谷泥層という12~13万年前にできた泥層と同じ時期にできたと主張する。
 規制委員会はどういったのか。規制委員会は、BF4という地点には、地層の年代を示す火山灰や花粉がない。BF1が古谷泥層であるということは確定している。BF4とBF1は似ているから同じ時期にできたと、中部電力は主張する。地形による対比、層相による対比、粒度・密度、含有鉱物などを比較して、BF4とBF1は似ているから同じ時期にできたと主張している。
 それに対して、規制委員会は、BF1とBF4とは、1km位離れていて、直接つながっているわけではない。現状のデータだけでは、BF4をBF1と似ているからといって評価するのは、難しいのではないか、と考えていると述べている。中部電力と規制委員会の議論を見る限りでは、規制委員会が方針を変えない限りは、H9断層が12~13万年前に以降活動していないとは言えないことになるはずだ。
塩沢弁護士;準備書面(35)について(以下は、準備書面を参照した)。
 本年3月18日,水戸地裁は「日本原電」に対し,実効可能性のある避難計画及び実行しうる態勢が整えられない限り、安全性に欠けるとして、東海第二原発の運転差し止めを命ずる判決を下した。
 この判決には、浜岡原発訴訟の原告にとって看過できない問題点を含んではいるが、しかし基本的にはこの判決には、当裁判所の判断においても採用されるべき点を含んでおり、評価したい。
 この判決は750ページにわたる大作であり、そのためか判例時報などに掲載されていない。そこで、浜岡原発訴訟の代理人の立場で見ると、こう理解されるという見方を述べるものである。いずれきちんとした判例が世に出れば、訂正なり補充も必要になるということをあらかじめ述べておきたい。
 準備書面の「第2 水戸地裁判決の特徴,結論及び理由の骨子」(準備書面P7)。
東海第二原発は,2011年の津波被害を受けた原発であり,運転開始から40年以上を経過した老朽原発であり,首都圏唯一の,30キロ圏内に94万人が暮らす原発であり,しかも2.8キロという近くに多量の放射性廃棄物を抱える再処理施設が存在するという原発でもあり,それ故争点は多岐にわたる。
 争点の10項目のうち、9項目については、原告の主張をことごとく退けたうえで、避難計画についての判断で、76名の原告ら(PAZ及びUPZ圏内に居住する住民)に対して、東海第二発電所の原子炉を運転してはならないと結論づけている。
 その理由の骨子は、以下の通り。
 「当裁判所は、人格権に基づく原子炉運転差止請求に係る具体的危険とは、深層防護の第1から第5の防護レベルのいずれかが欠落し又は不十分なことをいうものと解した上で、本件訴訟の争点のうち、第1から第4の防護レベルに係る事項については、その安全性に欠けるところがあるとは認められないが、避難計画等の第5の防護レベルについては、本件発電所の原子力災害対策重点区域であるPAZ及びUPZ(概ね半径30km)内の住民は94万人余に及ぶところ、原子力災害対策指針が定める防護措置が実現可能な避難計画及びこれを実行し得る体制が整えられているというにはほど遠い状態であり、防災体制は極めて不十分であるといわざるを得ず、PAZ及びUPZ内の住民である原告79名との関係において、その安全性に欠けるところがあると認められ、人格権侵害の具体的危険があると判断した。」(準備書面P8)
 原告79名を、浜岡原発に当てはめてみると153名となる。東海原発では94万人が暮らすところ、浜岡原発では83万人となる。水戸地裁判決は深層防護の考え方に立っている。
 そして、他の科学的技術利用に伴う事故とは質的に異なる原発事故の危険性をあげている。また、事故原因の予測不確実性,絶対的安全性を要求することの困難性もあげている。
IAEAは第1から第5までの防護レベルによる深層防護の考え方を採用し、我が国の原子力基本法もこの国際的な基準を踏まえるものとしている。
 「そうすると、我が国においても、発電用原子炉施設の安全性は、深層防護の第1から第5の防護レベルをそれぞれ確保することにより図るものとされているといえることから、深層防護の第1から第5の防護レベルのいずれかが欠落し又は不十分な場合には,発電用原子炉施設が安全であるということはできず、周辺住民の生命,身体が害される具体的危険があるというべきである。」(準備書面P15)。「第1から第5の防護レベルのいずれかが欠落し又は不十分な場合には、発電用原子炉施設が安全であるということはいえない」この点が大事だ。
更なる重要な指摘として、本判決は、「福島第一発電所事故の教訓を生かして発電用原子炉施設の安全強化を図るべく改正ないし制定された法律及び規則が要求する安全性は,上記のとおり国際的な基準を踏まえ深層防護の考え方を取り入れたものといえるから,差止めの要件となる具体的危険の検討に当たり,重要な指標となるものである。」(準備書面P15~16)。この判決は福島原発事故の教訓を生かすことが重要なのだという立場に立っている。
 さらに「深層防護第1から第4の防護レベルに相当する事項と第5の防護レベルに相当する事項(避難計画等)とでは具体的危険の存否に関する判断枠組みが異なること」(準備書面P16)をあげていることも大事だ。
 また、判決要旨では触れていない結論個所で、括弧書きで「なお,第5の防護レベルについては、原子力規制委員会による許認可の際に審査を受けないため事情を異にする。」(準備書面P17)としている。この点が本判決の際立った特徴点というものである。「規制委員会は、何ら具体的な審査をするものではないから」こそ、避難計画において司法独自の判断を示しているのである(準備書面P17~18)。
避難計画をめぐる水戸地裁判決は「避難計画を検討する前提として、人口帯との隔離に係る立地審査がない点を疑問視していること」(準備書面P18~19)。この点が大事だ。
 「放射性物質が発電用原子炉施設周辺に異常に放出されるという緊急事態において、数万ないし数十万人に及ぶ住民が一定の時間内に避難することはそれ自体相当に困難を伴うものである上、福島第一発電所事故からも明らかなとおり原子力災害は、地震,津波等の自然災害に伴って発生することも当然に想定されなければならず、人口密集地帯の原子力災害における避難が容易でないことは明らかであることに照らすと、行法による原子力災害防災対策をもってすれば、電用原子炉施設の周辺がいかに人口密集地帯であろうと、実効的な避難計画を策定し深層防護の第5の防護レベルの措置を担保することができるといえるのかについては疑問があるといわなければならない。」(準備書面P20)。
「原子炉から一定の距離の範囲内は低人口地帯であることを求める考え方を取り入れ、当該発電用原子炉施設の周辺が緊急事態における避難を困難ならしめる人口地帯となっていないかについても審査するほかはないと考えられる。」(準備書面P20)
 避難計画については、「いかなる想定の上で避難計画を策定すれば、深層防護の第5の防護レベルが達成されているといえるか」につき、同レベルが達成されているというためには、少なくとも、「第5の防護レベルの中核」としての原災対策指針が定める「原子力災害対策重点地域、すなわちPAZ及びUPZにおいて、全面緊急事態に至った場合、同指針による段階的避難等の防護措置が実現可能な避難計画及びこれを実行し得る体制が整っていなければならないというべきである。」とする(準備書面P23)。
 ここが判決の分かれ道となる。重点地域内の住民は救済されるが、圏外の人の救済はどうなるのか。ここが判決の問題点だ。
 以上のごとき総論的判断を踏まえ、本判決は、茨城県及びPAZ並びにUPZ圏内の東海村をはじめとする14つの市町村の避難計画の策定状況及び原子力防災体制の現状に関する詳細な認定事実に基づき、判断を示している。
 最後に、準備書面は水戸判決の問題点を述べている。判決は「少なくともPAZ及びUPZ内の原告らとの関係において第5の防護レベルに欠けるところがあるとする一方、「UPZ外の住民との関係においては、深層防護の第1から第4の防護レベルが達成されている場合には、具体的な避難計画の策定がされていないことをもって、直ちに人格権侵害の具体的危険があるということはできない。」と言っている。
 ここで少なくともとか、直ちにとか言って、慎重な言い回しをしていますが、救済対象を30キロ圏内に絞り込んでいる。静岡県の場合、浜松市と静岡市との二大都市は、圏外になるため、何の手立ても実施されていない。福島第一原発事故において全村避難した飯舘村の村役場と同原発までの距離は約40kmであるのに対し、浜岡原発から浜松市役所までの距離は約39km、静岡市役所までの距離は約45kmである。静岡市も浜松市に居住する本件原告は、401名。考えてみると、深層防護の第5レベルが不十分であれば、それだけで安全性に欠けるという考え方に立つと、30キロ圏内では対象になり、それを超えると、対象にならないということは、重大な問題点だ。
 次回の弁論では、各地域で避難計画が整備されているか否かをについて、主張をしたい。

 次回の第32回口頭弁論は、2022年3月23日(水)11時~

地域情報センターでの報告集会
 司会;落合;今日の内容をもう一度、お話しください。 
 阿部弁護士;コロナ対策ということで、口頭弁論開かなかったり、開いたとしても入場制限をしたりなどがありますが、今日は、原告から二つの準備書面を出しました。
 私の方から出した準備書面は、H断層に関するものです。H断層というには、浜岡原発の敷地を東西に走っている断層で、陸地に5本、海の方に何本かあり、敷地外にも4本くらいあり、H断層の上には、原発の建屋など重要施設が存在します。活断層の上に原発の施設があると、もし活断層が動いてずれた場合、段差ができたりすると、原発そのものがアウトになるので、活断層の上に原発を立ててはいけないということになっている。
 この場合、何をもって活断層というかというと、地球の歴史で、12~13万年前以降、動いたことが否定できない断層は活断層とすると。これは原発の審査にあたっての基準です。12~13万年前という途方もない年代ですが、そういうことで判断すると決めている。12~13万年前以降に動いたかどうかと。活断層の年代を決めるには、活断層の上に載っている地層によって判断する。上に載っている地層を切っていれば活断層、切っていなければ、地層が形成された後では動いていないと。では、原発の下に走っている地層があったかどうかというと、地層はない、そこで中部電力は、いまは敷地の北側を調べていって、H断層はH1から9まであると。それが同時期に形成された。同じような断層がつながっていて、ある時期に同時に形成されたと。北側になるH9という断層、その上に地層が乗っかっている。そこに着目した。それは12~3万年前に形成された、この地域の古谷泥層。H9の上に載っている泥層が古谷泥層ではないかと、中部電力は主張している。これに対して、前回の審査会合では、確かに泥層は泥層であるが、泥層の中に年代を示す指標が入っていない。指標の代表的なものは火山灰とか花粉ですね。火山灰であれば、どこの火山の爆発による火山灰かが分かれば、年代を特定できる場合がかなりある。花粉も、寒い地方の植物なのか、温かい地方の植物なのかの指標になりうる。H9の地層にそういう指標がなかなか出てこない。中部電力はH9の上の地点と、1km近く離れた、古谷泥層と言われているところを比べてみたが、粒の大きさとか、いろんなことが似ているから、H9の上にあるのは、12~3万年前頃に形成された古谷泥層だと主張している。ところが前回の規制委員会は、似ているということだけではダメだよと。つながっていないではないかと。ダメだと。やはりH9の上のBF4というところの年代をしめすような指標を出しなさいと。
 それに対して中部電力は、「それは分かっている、さんざん調査してきたが見つからないのだ」として見解を示したのが、前回の審査会合だった。新しいものが発見されない限りはむずかしい。
 中部電力が審査状況を説明するということで、こちらの積極的な主張は渡してはいませんが、徐々にこちらの主張も出していきたい。
 塩沢弁護士;この中で法廷に入れなかった方おられますか? 結構おられますね。 はい、わかりました。5分で話すところを20分しゃべってしまい、疲れてしまった。裁判官から時間を守れと言われた。止められなかったからよかったのですが、今年3月の水戸地裁が、本文で750ページ、全部で780ページになる。普通にコピーすると、厚さが10cmくらいになる。それをコンパクトに要約することはとても無理。皆さんの手元に判決要旨が行っていると思います。膨大な資料をまとめたものなので、分かるようでいて分かりにくい。私なりにかみ砕いて話したいと思います。まともに話すとまた20分かかるので、どうしようかなと思っています。
 お手元の判決要旨の3ページ、これが判決のエッセンス。(判決要旨のことに触れて発言)、   「深層防護」という考え方、第1から第5の防護レベル、欠落してくると原発の安全性が保てなくなる、「深層防護」の考え方を皆さんが理解されているかどうか分かりませんが、ここが問題。要旨で言うと、3ページ、第1、第2、第3、第4と並んでいるところ。簡単に言ってしまうと、故障が起きないようにするのが第1点、第2点は万一故障が生じた時、事故につながらないように。3番目に、事故が起きた時にあらかじめこういう事故が起きたときは、想定事故として押さえておく、しかし想定された事故を超えてしまった場合、そうなった場合にもできる限り抑える、最後に、抑えきれなくて、放射性物質が漏れた時は、速やかに避難する、そういう5段階がある。いままでの考えは、第3、第4までしっかりやれば、避難計画が多少荒くたって、第4まで間違いなくやれるのだからいいではないかという考え方が何となくあった。
 水戸地裁はそれではだめだと。最後のところで安全が確保されたとしても、第5のレベルが不十分だったら、それだけで差し止めの理由があるのだと、そういう理由を述べているのが、ここのところだ。ではなぜそういう考え方に立つべきかと、判決はいろいろ言っている。
 まず第1に判決が答えているのが、他の科学的・技術的なことと本質的に異なる原発の危険性、自動車や飛行機などの一般の事故とは違って、「原発のどこに特質があるかというと、原発が有害な物質を多量に発生させることが不可避である。重大で深刻な被害を与える可能性を本質的に内在している。重大な被害の可能性をもともと持っている。いざ事故が起きた時、高度の科学技術をもって、複数の対策、かつ連続的対策を成功さなくてはいけない。一つでも失敗すると、最悪の事態、破滅的事態につながる、他の科学的・技術的事故とは質的に異なる特性がある。」こういうことをきちんと述べている。いろんな判決があるけど、この判決は特別にこういうところに目標がある。そうであるにも関わらず、事故の原因を予測することは不可能だ。
 最後に、絶対的安全性を求めることは、現在の科学技術に求めることは不可能だ。ではどうするか。5層の防護レベルで考える。1から4まであれば、5はなくてもいいではなくて、どれかが欠落していても、それでもって具体的な危険性が発生する。 
 さて、ここからがまた、問題が出てくる。第5のレベル、避難計画のこと、予定通り避難できる体制になっているかどうか。政策と実行できる体制が整っているかということを、規制委員会が審査して、適合して再稼働するならまだいい。規制委員会が審査するのは4までだ。5のレベルは、地方自治体に任せていて、防災対策の一環として対応する。県や市町村が対策を立てているが、このことは、規制委員会の審査を通っていないだけに、ここがきちんと司法がきちんと審査しなければだめなのだと、その立場できちんと押さえている。そうすると、東海第二と東海村を含めた茨城県の現在の避難計画の作成状況や、それをきちんと実行できる体制が整っているかどうかということを広報誌に全部出している。避難計画を非常に詳細に検討している。とてもではないが実行可能な体制になっているとは到底思えない。
 そこで、出てきた結論はPAZ及びUPZ、30km圏内、(浜岡原発では31キロ圏内になる)その圏内に居住する原告らとの関係は、こんないいかげんな計画では、日常生活における権利を侵害する恐れがあると。しかし圏外に置いては計画が作られていないので、その人たちの具体的な危険性があるとは言えない。30km圏内の人は規制される、それより外のところは安全だからと、乱暴な言い方ができる。
 31キロ圏内の本件訴訟の原告数は153名、静岡県内の二つの大きな都市は、浜松市と静岡市。浜松は39km、静岡市は45km。福島第一原発事故で全村避難になった飯館村は40kmで全村が避難を余儀なくされた。
 それからすると、浜松や静岡もいざとなると、すごく危ない。浜松、静岡に居住する原告は400人、水戸地裁判決は、第5の防護レベルが不十分であれば、それだけで差し止めの理由になるのだときちんと言った。
 救済の対象を30km圏内に絞り込んでいるということは、第5層の防護レベルが不十分であっても、安全とは言えないというのがこの判決の眼目なので、30km圏内はやばい、30kmを超えると、やばくないぞというのは必然性がない。なぜそうなるかというと、司法の禁欲主義。できるだけそこそこに抑えようと。水戸地裁判決は絞り込むことをどう言うかというと、「少なくとも、PAZ及びUPZらの原告は、第5層レベルの欠けるところがあるので」と、やはり避難計画をそうあるべきではないと。その一方、PAZ及びUPZ圏外については、第1から第5までが想定されている場合には、つまり浜岡原発の場合、ものすごくシビアになった時、なんとか閉じ込めることができるか。そこが確認できれば、具体的な避難計画ができたり、今の法制度から言うと、浜松や静岡市では避難計画はできない、立てたくても立てなくていいということになっている。「避難計画がなされていないことをもって、直ちに人格権侵害の具体的危険性があるとは言えない」と。少なくともこうだと、圏外の方は直ちに避難させることはできないと、非常に慎重な言い回しになっている。
 ここが判決の大きな弱点で、水戸地裁の原告はこの点で控訴します。控訴審でどう判断されるか。そうはいっても今までにない判決で、「避難計画の点で、安全性に欠けるところがある」と。そこで、東海第二原発の原告はそこで勝っている。他のところでは全部退けられていて、避難計画の点だけで差し止めとなった。想定外の要件だ。そういう意味では使える判決だ。もう一度言いますと、「実行可能な避難計画、それが実行できる体制が整っているか否か、整っていない場合は、安全性に欠けるところがありますよ」と。ではそれに基づいて、浜岡原発の場合、30km圏内の12の市と町、ここでの避難計画はどうなっているかと言うと、みんなで手分けをして調べて、それが実行可能なのかどうか、実行できる体制が整っているかどうかをまとめて、次回の法廷で主張します。ですから、市のHPで避難計画が手に入ると思うし、各12の市や町で、ネットで出てこないところもあると思うので、市や町で情報開示を求めるしかないので、ぜひそれをやっていただいて、弁護士が手分けして、いろんな力も借りて、事実に基づいて、差し止めが認められるかどうかについて努力をしなければと思います。誰がやるのかと。それをまた私がやるのかと。それはちょっと勘弁してもらいたいと。私もやりますが、みんなでやりましょうと。
 司会:落合;ありがとうございました。塩沢弁護士から各自治体の避難計画のことがでました。かなりの量になると思います。
 それでは、参加者の方で、質問やご意見がありましたらお願いします。
 清水:今の御前崎市の状況について報告します。御前崎の市議会は12月1日から本来は12月議会が始まるのですが、11月30日から始まりました。ある議員からいま原発が止まっているが、そろそろ動かしてはどうかと、5項目の提案を行った。この時、私は議員ではないので参加できなかったのですが、この5項目について他の議員は、何も言わなかった。非常に残念だった。一般質問が先日あった。議員の一人が、産廃のことや、原発が止まっているが、再稼働についての質問をして、市長が今後どうするかについて、「全国原子力発電所立地協議会」というところと相談をしたいと答弁した。議会の了解が取れれば、協議会のメンバーと市長とで規制委員会を訪問して再稼働の方向を伝えたいというので、私たち市民グループは、当面、御前崎、菊川、掛川、のメンバーで宣伝行動を行う。スタンディングを一週間に一度やろうとか、今後どんどん広げていって、再稼働は許さないと、そういうたたかいをしていこうと意思統一をしました。最終的には、UPZの人たちを協力して、ビラを作ったり、申し入れ書を作ったり、いろんなたたかいをしていこうと取り組んでいます。これからも皆さんの力を借りてたたかいを進めていきたい。よろしくお願いします(拍手)。
 塩沢弁護士;私と阿部先生の話、感想なんか聞きたい。ここはよく分からないとか。
 林弘文;水戸地裁の判決要旨のところで一つお尋ねしたい。判決要旨の10ページ、15行目「避難対象人口を抱える日立市及びひたちなか市や、市全域がUPZとなり避難対象人口27万人余を抱える水戸市は、いずれも原子力災害広域避難計画の策定に至っていない」と書いている。
塩沢弁護士;何ページですか。
 林弘文;10ページ、15行目。
 司会:落合;判決要旨の10ページ。後ろから12行目。
 林弘文;それから11ページで、2行目。「5つの自治体の避難計画についても、本部の機能維持とか、今後の検討課題を抱えている」と書いている。裁判では、5層の避難計画がないからという判決だけれども、5層の計画がないというのは、10ページの「避難計画がない」ということと、「検討課題を抱えている」という、二つのことを言って、勝利判決になっているのでしょうか。静岡のUPZの場合、たぶん、焼津と藤枝が計画を出していないのではないか。それ以外は策定しているのではないか。正確性に欠けるかもしれないが。
塩沢弁護士;浜岡原発のUPZのことでしょうか。「検討課題」であるし、策定まではしていないと。そもそも避難計画ができていないと、実行する体制もできていないので、こんなことでは避難計画が策定されているとは到底言えないよと、判決は言っている。
 浜岡原発の場合はどこまでいっているのか、できていない市が二つある。そういう状況なので、たぶん同じような状況は、浜岡原発のPAZ,UPZについてもいえると思う。そこはこれからの検討です。
 林弘文;すいません、追加です。そうすると、UPZ全部が作られた、しかし避難計画の中味について、今後の検討課題があるよ、と考えてよろしいでしょうか、
 塩沢弁護士;だから「検討課題」がどの程度あるか、検討課題だらけであって、その検討課題が、いざという時は大変ではないかという認定にかかってくると思います。
 司会:落合;そのほか、いかがでしょうか。
 塩沢弁護士;内容的には分かっていただけましたかね。何だか分からないなという感じなのか。ああそうか、そういうことなのかということなのか、ご理解いただけたと思っていいのでしょうか。
 林弘文;たいへん分かりやすい話で、詳しく話していいただいてありがとうございました。判決要旨を読ませていただいて、水戸判決のことが詳しく書いてあって、こういうことかと分かりました。ありがとうございました。
 それから静岡の方では、県の危機管理というところでレビューをやっていますが、この間話した時に、やはり、向こうの人が言うには、皆さんの声が聞けてありがたいと言っていました。やはり外からそういう声をどんどん出していけばいいことではないかと思います。
 司会:落合;それではこのへんでお開きにしていきたいと思います。
 次回の第32回口頭弁論は、2022年3月23日(水)11時~ いつもは月曜日ですが、次回は水曜日です。皆さんにお願いがあります。今日の資料の中に、署名用紙が入っています。これは福島から全国に避難された方の、各地での裁判で補償を勝ち取るためや、生業訴訟とかですが、勝ったり負けたりしております。最高裁での裁判もあり、全国的な課題として、ご支援いただきたい。署名はこの場で書いておいていってください。
今日の書面も少し余っていますので、必要な方は持って行ってください。
                                (文責 長坂)


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