浜岡原発永久停止裁判 第18回口頭弁論

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2016年7月04日(月)
10:00 浜松市地域情報センターホールに原告や傍聴者が集まり始めた。
10:15 第9次提訴を行う(25人)。
10:30 裁判所内の部屋で傍聴抽選。
10:40 原告30席分を含め、傍聴席は満席となる。参加者   人。
11:02 裁判が開始。

裁判長は上田賀代、右陪審は本松智、左陪審は足立堅太、
訴訟代理弁護団計20名の弁護団のうち、今日の参加者は14名
田代博之、大橋昭夫、森下文雄、塩沢忠和、阿部浩基、北村栄、杉尾健太郎、
佐野雅則、平野晶規、北上紘生、栗田芙友香、青柳恵仁、加茂大樹、山形祐生、
被告側は国と中電で19名。

11:02 裁判長;前回後、裁判官の交代があり、弁論更新を行う。これまでの経過について若干の補足あり。原告10分、被告15分の申し出がある。

11:03 原告・阿部弁護士:弁論更新にあたり、経過を述べたい。悲惨な福島原発事故から5年が経った。のど元過ぎれば熱さ忘れると言われるが、政府は原発の再稼働を進め、老朽化した40年以上たった原発も再稼働させようとしている。
(以下、「更新弁論」文書を掲載、法廷では要旨を述べた)

1 福島第一原発の事故から5年以上が経過した。
 この間各地で提起されている原発の運転差止訴訟で大きな動きがあった。
 最初に大飯原発3,4号機の運転を差し止めた福井地裁の平成26年5月21日判決、次に高浜原発3,4号機の運転差し止めを命じた福井地裁平成27年4月14日決定があった。これらは樋口裁判官が中心となって出したものである。高浜3,4号機の仮処分決定については、仮処分異議で取り消されたが、今度は大津地裁で平成28年3月9日、同じ高浜原発3,4号機について新たに運転差し止めを命じる仮処分決定が出された。これは山本善彦裁判官が中心となった出したもので、樋口裁判官だけでなく、他にも原発に厳しい目を持つ裁判官がいたことであり、明らかに福島第一原発事故前の原発訴訟とは様相を異にしている。

2 科学技術論争はどうなったか。
これらの住民勝訴の判決、決定で、原発の危険性についてはどのように審理され、判断されたか。
精密な科学論争の末決定が出されたわけではなく、極めて常識的な、素人が読んでも分かるような理屈で住民側の主張を認めている。
例えば、原発が予想される地震の地震動に耐えうる安全性をもっているか否かについて、元となる基準地震動の設定が電力側の主張どおりでよいのか、甘すぎるのではないのか、という論点がある。本件でも最大の争点の一つである。

この点につき福井地裁の平成27年4月14日仮処分決定はどのように判断したか。
   「しかし、この理論上の数値計算の正当性、正確性について論じるより、現に、下記のとおり、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以降10年足らずの間に到来しているという事実を重視すべきは当然である。」
「しかし、いずれの原発においても、その時点において得ることができる限りの情報に基づき当時の最新の知見に基づく基準に従って地震動の想定がなされたはずであるにもかかわらず結論を誤ったものといえる。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず、債務者の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない。」
その根底にあったのは福島第一原発事故の被害を直視しこれと真摯に向き合うという姿勢であり、原発というものが、一つ間違うと取り返しのつかない被害を人類、地球に与えるものだという認識であり、いかに科学技術が進んでも、原発を完全にコントロールはできないという謙虚な姿勢である。
最近、国が各県の統一モデルとして定めた日本海「最大クラス」の津波が過小評価されているとして前原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏がこのままだと再び「想定外」の地震、津波の被害が発生すると警告を発している(「科学」2016年7月号、653頁以下)。震源断層の面積から地震モーメントを求める式に入倉・三宅式という式があるが、この式によると垂直或いは垂直に近い断層の場合に3.5分の1程度に過小評価されるというのである。日本海西部の断層は垂直ないし垂直に近いので福井県に立地する原発では審査し直す必要がある。このことは、地震の科学というものの現状、決して過信してはならないことを示している。規制委員会はこの指摘を受けて計算のやり直しをすると表明している。今後、このようなことが起こらないという保証はあるのか。
2009年8月11日、駿河湾の地震が発生し、そのとき浜岡原発では同じ敷地なのに5号機が特別に強い地震動に襲われた。その結果、被告中部電力は、3,4号機は1000ガルに耐えられるようにしているのに5号機については1900ガルで検討している。5号機だけ強い地震動に襲われた原因は地下の低速度帯の存在だとされている。しかし、このようなことは駿河湾の地震が起こって初めて分
かったことである。それがなければ5号機は3,4号機と同じ耐震基準で施工してよしとしたのである。
   このようなことから考えて、地震や津波について、全て理解したと思うのは、極めて傲慢・不遜な態度であると考える。歴史を振り返れば、規制基準や安全基準などというものは、いつも事件や事故が起きてから後追いで改善されていく。なぜ最初から十分な余裕を持って設計しないのかと言うと、それをやるとコストが高くなるからである。しかし、原発はそれでいいのかということである。「想定外」だったではすまされない。
多くの科学技術は失敗に学んで進歩し、よりよいものへと改善されていく。しかし、原発にかぎっては、失敗に学んで改善していくことを許してはならない。なぜなら一度失敗したら取り返しがつかなくなるからである。福島の二の舞を浜岡で起こせば日本は潰滅するからである。

3 避難計画について
避難しなければならないような事態は発生しないと電力側は主張するかもしれないが、それは間違いである。
  深層防護は、IAEA(国際原子力機関)の要求するものであり、国際スタンダードである。第1層から第5層まであり、その第5層はシビアアクシデントが発生した場合にでも施設外で住民が放射線に被曝することを防ぐことを要求している。IAEAでは、各層は他の層とは独立に自分のところだけで役割を果たすべきだとしている。1層から4層までで事故・被害発生は防げるから5層はいいかげんでもいいのだとは決して言っていない。避難計画はこの5層での問題である。我が国では、第5層は行政の責任とされ、原子力規制委員会も第5層については審査もしない。全く無責任というほかない。
静岡県でも2016年3月に広域避難計画がようやく策定されたが、それはとりあえず策定しただけという程度のものであり、複合災害で発生する鉄道、道路、橋などの破壊、水道、電気の途絶などを十分考慮に入れておらず、全く実効性のないものである(詳しくは次回準備書面で述べる)。UPZ内(31キロ圏内)でも90万人以上の人口がある。加えてUPZ外でも放射能が飛散して退避せざるを得なくなる地域が出てくる。特に静岡市内から沼津方面は風向き次第でUPZ内と変わらない放射能を浴びる可能性がある。
  そのようなことを考えると、そもそも実効性のある避難計画を立てるのは無理だと思われる。容易に立案できるのであれば静岡県でも早々に策定できているはずである。法律でつくることになっているからとにかくつくったのだ、無理なことを要求するな、ないよりましだという考えなのかもしれない。しかし、このようなことでいいのか。
  実は、新規制基準から立地審査指針が抜け落ちたのは、これを厳密に要求すると日本では原発を建設できる場所がなくってしまうからである。立地審査指針は、重大な事故が発生した場合でも周辺の公衆に放射線障害を与えないよう原子炉と住民の居住地を離しておくべきことを要求するものであるが、原子力安全委員会は重大事故の場合も放射線は原子炉施設の敷地内にとどまるという、実にいい加減な解釈のもとに、人口密集地域の日本に多数の原発の建設を許してきたのであった。ところが、福島第一原発事故でそのようないい加減な運用が白日の下に明らかになった。しかし、かといって立地審査指針を厳密に適用すれば人口密度の高い日本の国土で原発を建設できる場所は
なくなってしまう。だから、新規制基準に立地審査指針を入れなかったのである。それならば日本に原発はつくるべきではないし、つくった原発は廃炉にしていくしかない。
高浜原発3,4号機の運転差し止めを認めた大津地裁仮処分決定(2016年3月9日)は、避難計画の立案について「地方公共団体個々によるよりは、国家主導での具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるばかりか、それ以上に、過酷事故を経た現時点においては、そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家には発生しているといってもよいのではないだろうか。
  このような状況を踏まえるならば、債務者には、万一の事故発生時の責任はだれが負うのかを明瞭にするとともに、新規制基準を満たせば十分とするだけでなく、その外延を構成する避難計画を含んだ安全確保対策にも意を払う必要があり、その点に不合理な点がないかを相当な根拠、資料に基づき主張及び立証する必要があるものと思料する。」
本訴訟において、避難計画は最大の論点のひとつである。

11:17 被告・中電:(文書提出がなく、要点のみ)
  本件訴訟で、原発の安全性が確保されていることを主張してきた。特に地震動、津波の評価における安全対策を、最新の知見に基づいて評価検討してきた。地震に最も影響を与える南海トラフ間の地震と津波に対する安全性を検討し、主張してきた。安全確保の概要の説明を行う。
 熱を取り出す際の核分裂生成物の放射性物質の危険性を顕在化させないための安全確保を行っている。放射性物質に対して多重の障壁を設けている。立地に当たっては、大きな相対的変位をもたらす活断層の上に当たっていないことを確認。地震・津波が事故の大きな誘因とならないよう設計した。想定される地震動・津波をもたらす南海トラフはもっとも詳しく調査されているプレート境界であり、過去の地震の発生で知られている。これらの研究に基づき詳しい調査を行い、事故の大きな誘因とならないよう設計・建設をした。
 平常時の被ばく軽減対策は、大気中に放出される放射性物質を可能な限り軽減する対策を行うこと、また機器の異常等が発生した場合も、放射性物質の異常な放出を未然に防止するため、原子炉停止、炉心冷却など、深層防護の考え方での事故防止対策を講じてきた。事故の共通要因を排除するために多重性、独立性での設計をしている。
 原発は高度な科学技術の知見に基づく複雑な体系をしている。自然的立地条件にもとづく安全確保対策、運転中の安全対策、深層防護にもとづく事故防止対策を科学技術の知見の基づき設けている。安全確保は、専門分野の集積での総合で成り立っている。建設後も知見の進歩に基づいて安全性の確保の確認をしている。
 東北地方太平洋地震と福島第一原発事故に基づき、事故対策だけでなく、万一の放射性物質の放出があっても、本県原発の安全性が確保できるよう、以下の対策を講じた。地震・津波への対応の概要。南海トラフ沿いのプレート間地震と津波について、東北地方太平洋地震の教訓を受けて内閣府に設置された南海トラフ検討会での知見に基づき、本県原発の地震動と津波を改めて検討した。地震動の検討は、詳細な調査を行い、駿河湾地震での地震の増幅の主たる要因も反映して、基準地震動を策定している。取水槽周辺の地盤改良工事も行っている。
津波についても、津波痕跡の文献調査、たいせき物の調査、プレート間地震の津波事例の調査などを行い、大きな影響を与える津波発生要因を選定してシュミレーションに基づいた調査を行い、基準津波を策定した。基準津波の対策では、高さ海抜22メートル、全長1.6キロメートルの防波壁を設置し、敷地内への浸水を防止している。防波壁は基礎岩盤まで達する十分な根入れを行い、液状化や洗掘を受けにくくしている。防波壁に対する津波の波力も十分耐えられるよう設計している。仮に防波壁を越えて敷地内に浸水した場合も、原子炉建屋内に入らないよう対策を講じ、炉心冷却機能が損なわれないよう対策をしている。福島第一原発事故での全交流電源喪失については、炉心の著しい損傷を防ぐようにしている。敷地内の高台にガスタービン発電機、海水冷却機能喪失に備えて緊急時海水装置を用意している。安全機能が損なわれないようにするため、外部からの火災を防止するために防火帯を設ける、たつまきに対する対策も講じている。
3,4号機について、新規制基準の設置変更申請を行っている。現在審査が行われている。新規制基準に基づく安全対策工事を行っている。

11:30 裁判長;二人の説明があった。前回以降、被告・中電からは、6月27日付けで準備書面(17)をもらった。原告からの求釈明(H28.2.16付けの準備書面(15))の回答だ。原告からは2016年 7月4日付けの準備書面(16)を提出している。口頭での補充があるという。10分程度でお願いしたい。

11:33 原告・佐野弁護士;(高浜原発仮処分大津地裁決定についての説明(以下、準備書面(16)を掲載、法廷では要旨を述べた)。
高浜原発3,4号機の運転差止を認めた大津地裁仮処分決定と司法の責任について

1 大津地裁決定(平成27年(ヨ)第6号 原発再稼働禁止仮処分申立 事件)
(1)2016年(平成28年)3月9日、大津地方裁判所は、関西電力高浜原発3,4号機は一般的な危険性を有することに加え、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所事故という、原子力発電所の危険性を実際に体験した現段階においては、関西電力側において高浜原発3,4号機の設計や運転のための規制が具体的にどのように強化され、それにどう応えたかの主張及び疎明が尽くされない限りは、高浜原発3,4号機の運転によって住民らの人格権が侵害されるおそれがあることについて一応の疎明がなされたものと考えるべきところ、高浜原発3,4号機については、福島第一原子力発電所事故を踏まえた過酷事故対策についての設計思想や、外部電源に依拠する緊急時の対応方法に関する問題点、耐震性能決定における基準地震動策定に関する問題点について危惧すべき点があり、津波対策や避難計画についても疑問が残るなど、住民らの人格権が侵害されるおそれが高いにもかかわらず、その安全性が確保されていることについて、関西電力が主張及び疎明を尽くしていない部分があるとして、高浜原発3,4号機の運転を差し止める決定をした。
(2)福島第一原子力発電所事故の凄惨な現実を直視したうえで、同事故後の裁判所の責務を全うした英断であり、極めて常識的な判断であった。
本件浜岡原発を永久停止させることを躊躇なく決断することができる重要な視点を示している裁判例である。

以下、本件にもあてはまる判断部分について紹介し、原告らの主張の補充とする。
2 主張立証責任の所在について
(1)大津地裁決定は、この点について、次のとおり判示している。
伊方原発訴訟最高裁判決は、「原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点がないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである」旨判示した。
(2)本件浜岡原発訴訟においても、原子炉施設の安全性に関する資料の多くを被告中部電力側が保持していることや、被告中部電力が一般に関係法規に従って行政機関の規制に基づき原子力発電所を運転していることに照らせば、被告中部電力において、依拠した根拠、資料等を明らかにすべきであり、その主張及び立証が尽くされていない場合には、被告中部電力の判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。
(3)しかも、本件浜岡原発訴訟は、大津地裁決定の判示するとおり、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制行政に大幅な改変が加えられた後の事案であるから、被告中部電力は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制行政がそのように変化し、その結果、浜岡原発の設計や運転のための規制が具体的にどのように強化され、被告がこの要請にどのように応えたかについて、主張及び立証を尽くすべきである。
(4)福島第一原子力発電所事故によって露わになった原発の問題点が解消されない限り、浜岡原発の再稼働は決して許されない。

3 過酷事故対策について
(1)大津地裁決定は次のとおり判示している。
福島第一原子力発電所事故によって我が国にもたらされた災禍は、甚大であり、原子力発電所の持つ危険性が具体化した。原子力発電所による発電がいかに効率的であり、発電に要するコスト面では経済上優位であるとしても、それによる損害が具現化したときには必ずしも優位であるとはいえない上、その環境破壊の及ぶ範囲は我が国を越えてしまう可能性さえあるのであって、単に発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引き換えにすべき事情であるとは言い難い。
福島第一原子力発電所事故の原因究明は、建屋内での調査が進んでおらず、今なお道半ばの状況であり、津波を主たる原因として特定し得たとしてよいかも不明である。その災禍の甚大さに真摯に向き合い、二度と同様の事故発生を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには、原因究明を徹底的に行うことが不可欠である。被告がこの点に意を払わないのであれば、そしてそのような姿勢が、被告ひいては原子力規制委員会の姿勢であるとするならば、そもそも新規制基準策定に向かう姿勢に非常に不安を覚えるものと言わざるを得ない。
福島第一原子力発電所事故の経過からすれば、同発電所における安全確保対策が不十分であったことは明らかである。そのうち、どれが最も大きな原因であったかについて、仮に、津波対策であったとしても、東京電力がその安全確保対策の必要性を認識してさえいれば、同発電所において津波対策の改善を図ることが不可能あるいは極度に困難であったとは考えられず、防潮堤の建設、非常用ディーゼル発電機の設置場所の改善、補助給水装置機能確保等、可能な対策を講じることができたはずである。しかし、実際には、そのような対策は講じられなかった。このことは、少なくとも東京電力や、その規制機関であった原子力安全・保安院において、そのような対策が実際に必要であるとの認識を持つことができなかったことを意味している。
そして、地球温暖化に伴い、地球全体の気象に経験したことのない変動が多発するようになってきた現状を踏まえ、また、有史以来の人類の記憶や記録にある事項は、人類が生存し得る温暖で平穏なわずかな時間の限られた経験にすぎないことを考えるとき、災害が起こる度に「想定を超える」災害であったと繰り返されてきた過ちに真摯に向き合うならば、十二分の余裕をもった基準とすることを念頭に置き、常に、他に考慮しなければならない要素ないし危険性を見落としている可能性があるとの立場に立ち、対策の見落としにより過酷事故が生じたとしても、致命的な状態に陥らないようにすることができるとの思想に立って、新規制基準を策定すべきものと考える。
本件浜岡原発訴訟においても、大津地裁決定が判示する観点からすれば、被告中部電力が単に新規制基準への適合性を主張、立証するだけでは浜岡原発の安全性についての主張、立証としては不十分であると言わざるを得ない。
(2)さらに、大津地裁決定は、福島第一原子力発電所事故において問題となった発電所の機能維持のための電源確保の点について、次のとおり判示している。
ディーゼル発電機の起動失敗例は少なくなく、空冷式非常用発電装置の耐震性能も認められず、また、電源車等の可動式電源は地震動の影響を受けることは明らかであり、非常時の備えにおいてどこまでも完全であることを求めることは不可能であるとしても、このような備えで十分であるとの社会一般の合意が形成されたとはいえない。
(3) 本件浜岡原発訴訟においても、被告中部電力は、新規制基準において新たに義務化された原発敷地内での補完手段とアクシデントマネジメントとして不合理な点がないことを相当の根拠、資料に基づき主張立証すべきである。
(4)また、使用済み核燃料ピットの冷却設備の危険性について、次のように指摘している。
新規制基準は防護対策を強化したものの、原子炉と異なり一段簡易な扱い(Bクラス)となっている。安全性審査については、原子炉の設置運営に関する基本設計の安全性に関わる事項を審査の対象とすべきところ、原子炉施設にあっては、発電のための核分裂に使用する施設だけが基本設計に当たるとは考え難い。すなわち、一度核分裂を始めれば、原子炉を停止した後も、使用済み核燃料となった後も、高温を発し、放射性物質を発生し続けるのであり、原子炉停止とはいうものの、発電のための核分裂はしていないだけといってよいものであるから、原子炉だけでなく、使用済み燃料ピットの冷却設備もまた基本設計の安全性に関わる重要な施設として安全性審査の対象となるものというべきである。
(5) 本件浜岡原発訴訟においても、被告中部電力は、使用済み核燃料の危険性に対応する基準として新規制基準が合理的であることについて、主張及び立証を尽くすべきであるし、使用済み核燃料の処分場の確保等についても、相当の根拠、資料に基づいて主張立証しなければならないはずである。
また、そのうえで、新規制基準の下でも、使用済み燃料ピットについては、基準地震動により使用済み燃料ピット自体が一部でも損壊し、冷却水が漏れ、減少することになった場合には、その減少速度を超える速度で冷却水を注入し続けなければならない必要性に迫られることになる。被告中部電力は、使用済み燃料ピットの崩壊時の漏水速度であるとか、冷却水の注入速度が崩壊時の漏水速度との関係で十分であることなどについても、主張及び立証を尽くすべきである。

4 避難計画について
(1)避難計画については、次のように判示している。
   本件各原発の近隣地方公共団体においては、地域防災計画を策定し、過酷事故が生じた場合の避難経路を定めたり、広域避難の在り方を一応示したところである。これらは、債務者の義務として直接に問われるべき義務ではないものの、福島第一原子力発電所事故を経験したわが国民は、事故発生時に影響の及ぶ範囲の圧倒的な広さとその避難に大きな混乱が生じたことを知悉している。安全確保対策としてその不安に応えるためにも、地方公共団体個々によるよりは、国家主導での具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるばかりか、それ以上に、過酷事故を経た現時点においては、そのような基準
を策定すべき信義則上の義務が国家には発生しているといってもよいのではないだろうか。
   このような状況を踏まえるならば、債務者には、万一の事故発生時の責任はだれが負うのかを明瞭にするとともに、新規制基準を満たせば十分とするだけでなく、その外延を構成する避難計画を含んだ安全確保対策にも意を払う必要があり、その点に不合理な点がないかを相当な根拠、資料に基づき主張及び立証する必要があるものと思料する。
(2) この判示は、そのまま本件にもあてはまるものである。

5 原発関係訴訟に臨む司法の責務
(1)我が国の裁判所は、福島第一原子力発電所事故の前、原発事故のリスクを訴える住民の訴えに耳を貸さず、専門家の判断を尊重し、運転差し止めを求める訴えを、(2例を除き)ことごとく退けてきた。福島第一原子力発電所事故が明らかにしたのは、原発の安全性がいかに脆弱なものであったかだけではなく、原子力村に属する「専門家」の判断を信用した裁判所の判断の過ちでもあった。専門家は、日本の原発は過酷事故を起こさないと法廷で証言し、裁判所は、その証言をやすやすと採用し続けた。しかし、司法全体が原発の安全性について踏み込んだ判断を積み重ねてさえいれば、福島第一原子力発電所事故は防げたはずである。福島第一原子力発電所事故を受けて国民の意識は一変し、原発の安全神話を盲目的に信じ切っていた姿勢を反省し、二度と同じような原発事故を起こさせないようにしようと全国的な運動が展開
されている。政府ですら、同事故直後の政治判断として、本件浜岡原発を停止するよう要請したほどである。それほどまでに、原発の危険性、浜岡原発の危険性は、福島第一原子力発電所事故により完全に証明された全国民的な意識となっているのである。この社会の意識の変化を受けて、司法も十分に意識改革をしなければならない。
(2)福島第一原子力発電所事故の後に原発差し止め裁判を担当する裁判官は、まず、そのことに対する痛烈な反省からスタートしなければならない。福井地裁判決が言うように、「福島第一原子力発電所事故のような事態を生じる可能性が万が一でもあれば、その運転を差し止めるべきであり、その判断をしないことは、裁判所の責務を放棄するに等しい」のであり、このことを裁判官としての矜持とすべきである。原発裁判を担当する裁判官には、福島第一原子力発電所事故の教訓と司法の責任に真摯に向き合うことが求められているはずである。
(3)以上のとおり、裁判官が司法の責務に真摯に向き合えば、本件浜岡原発を永久停止させる決断に躊躇を覚えることはないはずである。

11:41 裁判長;原告から甲F第4号証提出、さらにDVD甲H第29.30号証提出。
原告・阿部弁護士;甲H第29.30号証は「日本と原発」という映画のDVDだ。監督は脱原発弁護団団長の河合弘之弁護士。映像の中身は、原告の主張を分かりやすく主張したもの。ダイジェスト版30分を上映することを申入れしたい。他の裁判所でも上映の申入れをしており、先日も本庁裁判でも上映されている。

裁判長;第29.30号証提出されたが、その主張での補充か。

原告・阿部;公開の法廷なので、傍聴の人にも見てもらいたい。

裁判長;上映について、被告の考えはどうか。

被告・中電;必要はないと考える。

裁判長;本日は上映の扱いは無理。それぞれの意見に基づき、方法・時期、上映の可否を含めて検討していく。
    新規制基準に基づく工事の進捗状況はどうか。

被告・中電;工事の関係では、防波壁の工事、連動した海上盛り土は、今年の3月末に完了した。これまで計画した工事は、浜岡4号機は今年の9月ころ、3号機は平成29年9月ころ、現時点での完了の見通し。現在は配管サポートの改良工事とか、緊急時の増設工事を行っている。
    審査の関係では、現在審査を受けている立場なので、はっきりした見通しを述べることは難しい。基準地震動、基準津波、設計基準対象施設、重大事故対処施設の審査が行われていく予定だ。 
    審査が終わって、設置変更許可、工事計画認可、認可を受けて、使用前検査を受けて合格することが少なくとも必要だ。
今後、審査の状況を考慮して、追加工事も考えられる。進捗状況によっては、代理人の感触としては、判断時期が延びる可能性がないわけではない。お知らせはその都度行う。

11:43;裁判長;変更があれば、その都度言ってほしい。

被告・中電;分かりました。

裁判長;本日、原告からは第9次訴訟が提起された。まだ見ていないが、中電だけを相手にしたものというが、出された状態か。

原告;そうだ。

裁判長;手元に来て審査して承諾となるが、次回までに答弁ほしい。これまでの訴訟の展望の意見もあればほしい。

被告;分かりました。

裁判長;原告の避難計画の補充は次回までに。

原告;次回までに行う。

裁判長;次回までに原告の避難計画の補充をいただきたい。
   被告には、第9次訴訟の認否、被告としての意見があれば出してほしい。国の意見もあれば出してほしい。本日は以上。次回期日について。

原告・塩沢弁護士;その前に2点。被告中電の更新弁論があったが、書面で出してほしいと思うが、どうか。

被告・中電;これまでの準備書面をまとめたもの。独立のものとすることは考えていない。

原告・塩沢弁護士;もう一つ。DVDの上映について、訴訟手続き上は裁判官が判断することではあるが、これだけ国民が注視している。証拠調べも法廷で、公開の形で、原告はもとより、報道機関の人たちにも出されていくことが重要なことだ。静岡の本庁でも上映されているし、各地の裁判でも同様な扱いをされている。厳密な形式的観点からではなく、この裁判の持っている広い意味での重要性に思いを寄せていただき、裁判所も前向きの検討してほしい。  

裁判長;今の主張を含めて判断させてもらう。
次回は、11月14日(月)11:00からとする。書面提出は一週間前にお願いする。
                                     11:54終了

12:03 地域情報センターで報告集会
司会・落合勝二;みなさん、ご苦労様です。さっそく報告集会を開いていきたい。
実は、会長の林先生が頑張っていただきましたが、諸事情により、山本義彦先生(静岡大学名誉教授)に交代します。最初にごあいさつをお願いします。

山本義彦氏;出戻りです。県の歴史をやっていて、そこで原発問題の資料の編集もほぼ終わっていて、県の原子力学術会議という組織が、不鮮明な言い方をしているなということだけは検証可能かなと
思っています。簡単に言えば、中電の説明を聞いて「なかなかよく努力されていますよね」という意見交換会だ。それが隠れ蓑になって、この間、憲法9条に反するような「戦争立法はおかしい。裏口入学でけしからん」といってたと思ったら、憲法9条を改正すべきだと言いだして、自公へのラブコールだなと感じている。原発だって、県庁の中で仕事をしながら不安を持っている。私は私なりに見てきたことを含めて、考えていることをだして、今後とも協力できることはできるだけ協力したい。
   今日は簡単にいえば、中電の準備書面は、何のことはない、「昔の名前で出ています」と。ほとんどのことが、昔のことが、基準が上がったので、基準に沿って一生懸命頑張っていますよと。いま問われているのはそんなことではない。高浜原発での状況変化が起きているのに、その状況変化にどう真摯に向かうべきかという、阿部弁護士が指摘したことがほとんどまともにできていないのが現実だ。あとは、裁判官が科学性ということで、容認することか問われているのかなと思っている。

司会;全員が法廷に入ったので、分かっていると思いますが、阿部弁護士から今日の流れと、裁判長が交代して更新手続きについて、女性の裁判官はやさしく丁寧に進めている印象を受けましたが、その点も含めて話をしてほしい。

阿部弁護士;代わった裁判官のことはまったく知らないので何も分からない。裁判官が交代すると、それまでの主張や証拠について、「従前通りですね」で普通は終わるが、こういう事件なので、いままで言ったことをもう一度話をさせてほしいと、これを更新弁論と言うのですが、それを行った。私の方からは聞いてもらった通りですが、この間、再稼働差し止めの判決や決定では、どのような指摘がなされているかということ、細かい科学論争には踏み込まず、他の原発事故を踏まえた適切な判断をしていることを申し上げた。
   避難計画については、本当に新規制基準ではどこにも入っておらず、電力会社の義務でもないと、国は一生懸命やらず、ほとんど地方自治体に丸投げの状態。大きな指針だけ作って、後は県でやって下さいねと。さらに細かな調査もやることになっているようですが、そのしくみ自体が非常に問題だ。避難計画ができていることが、原発の安全性の一つの柱になっている。避難計画は形式で行うものでなく、充分立証できるものですが、本来は今日、今年3月にできた県の避難計画について細かく打合せをして出す予定でしたが、準備が不十分で次回に出し、更新弁論をやります。
   中電も更新弁論をやりましたが、従前の準備書面の項目を並べて、地震対策・津波対策をやっていることを押し出していたと思う。
そのあと、それぞれが出した書面についてのことがあり、中電からは、前回こちらから津波についての求釈明を行い、それに対する回答があった。まだ十分に検討ができていない。
こちらからは、最近出た大津地裁の仮処分決定について、佐野弁護士から更新弁論を行った。いままでは福井地裁の判決と決定、これは福井地裁の樋口裁判長が書かれたもので、もう一人二人と思っていたが、大津地裁の山本裁判長のいい決定が出された。控訴審も却下されたので、高浜3.4号機は動く見込みはないと思っている。
証拠として河合弁護士が作られたDVDのこと、原告の主張が分かりやすく映像とともに出されており、原告の主張だけでも裁判官に見てもらいたいと。全部見たけれども、非常に分かりやすかった。裁判所にはダイジェスト版だけでもやってほしいと申し入れた。裁判長はまじめなので、多分見ると思うが、塩沢弁護士も追加の主張をしましたが、ぜひ公開の席で上映してほしいと更新弁論した。実際、いくつかの裁判所もやり、静岡の本庁でもやった。以上です。

12:13 司会;高浜原発・大津地裁仮処分決定についての陳述を行った佐野弁護士から報告をお願いします。

佐野弁護士;本日提出した準備書面(16)では、3月に出た大津地裁決定を踏まえながら、とてもいい判断がされているので、この判断を浜岡原発裁判でも同じように考えていくべきだという主張です。大津地裁の決定はご承知のことだと思うので、ここでは繰り返しませんが、重要な指摘は、特に避難計画について、突っ込んだ判断をしている。これができていない現状では原発は動かすべきではないと、極めて当たり前の判断をしている。これが全国の裁判所で同じように行われば、原発は止まるはずだ。浜岡でも同じように常識的な判断をしてもらいたいと。これを踏まえて、原発の裁判に係わる裁判官はどういう立場で臨まなければならないかを述べた。これは福井の決定、大津の決定を踏まえて、司法の中でも考え・姿勢が変わりつつあることの流れを止めてはいけないという観点で書いてある。
いままでの原発裁判は、住民がどんなに頑張っても、はじめから結論は決まっていると裁判が行われてきた。しかし福島の事故が起こって以降は、そういう流れは止まったというか、流れが変わってきている。このことは、大津地裁の井戸・弁護団長も言っているが、これまでは専門家が安全というから安全だと裁判所は言ってきた。あの事故を見ればこの判断は間違いだということは明らかだと、事故後、社会の目は変わってきた。危険性があるのであれば、止めるべきと、裁判所が止めないのは責任の放棄だというところまで突っ込んで主張した。同じような考えが浜松の裁判所でも、静岡の裁判でもできないはずはない。このように福島の事故を見て、考えて、司法の責任を考えれば浜岡は止めるしかないと。迷うことはないと主張した。

12:16 司会;今日の口頭弁論の前に、9次提訴を行った。9次提訴は25人を追加した。これで633人+25人=658人となった。ますます大きな原告となり、裁判を進めたい。中電がしゃべったのははじめて。中電も再稼働に向けて、着々とやっていることが分かった。4号機は2016(平成28)年9月、3号機は2017(平成29)年9月完成予定ということもはっきりしてきたが、一方で中電側も完全に自信がないのか、規制委員会の審査結果によっては見直しをしなければならないとも、そういう可能性もあるという感触のことを言った。こちらの運動をますます強めていく必要があるかなと感じた。
 何か質問はありますか? 名古屋の北村弁護士から全国の裁判のことを話してもらいます。

北村弁護士;全国のことを話します。伊方原発再稼働は間近ですが、立地自治体は賛成で盛り上がらないが、隣地の県で、瀬戸内海をはさんで広島で訴訟を起こして、仮処分が近々出るのではないか。電力会社は、仮処分が一番困る。大津地裁決定で、3.4号機を止めてしまう。本裁判では証人尋問などやれば何年もかかってしまう。仮処分は半年くらいで出る。仮処分の制度がおかしいのではないかという横やりを入れる動きもある。
「高浜原発1,2号機廃炉に」で、名古屋で裁判をやっている。40年経過した原発は廃炉でと「TOOLD40」という、シールズにあやかって、ロゴマークをつくり、4/14に提訴して、7/13に第一回口頭弁論が行なわれる予定だ。名古屋は頑張っている。初めての差し止め訴訟だ。キャラクターまで作った。「デンジャラス君」。「早く辞めさせてよ~」と。地球からレッドカードを突き付けている。
全国の訴訟は3勝3敗。○福井×川内○高浜×高浜異議審○高浜×川内異議審。次は○にしたいが、二つの負けた裁判では、裁判官が迷っている。どこで迷っているか。二つとも共通点がある。社会的通念、社会的合意が厳しければ、そういう判断基準でやっていいだろう、しかしまだそこまでいっていないので私はこういう基準でやりましたと言っている。まだ市民の中で「まだ原発は安いという人」もいる。そういう人を巻き込んでいくと、裁判官も社会通念が厳しければとは言わないだろう。ぜひ広めてやっていきましょう。

12:28 司会;連携を強めて頑張っていきたい。

塩沢弁護士;新しい裁判長はどういう人か、他の裁判で当たっているので、私の印象をお話ししたい。50期。京都地裁から浜松へ。20年近くのベテラン。丹念に記録を読んで、いろいろ準備をしてポイントをつかんで訴訟指揮を行う。物静かだが、事件を見る目はしっかりしている。そういうように感じている。
  そういう観点で行くと、今日、非常に心配になったのは、忘れかけているかもしれないが、被告側に国がいる。国を被告にする裁判をしたが、印紙代の問題があり後が続かなくなって、被告にするのは一回限りだった。被告の国は税金をかけて大勢来ている。国は、国を相手に裁判をするのは間違っている、手続きに触れずに、中味に触れずに却下だという主張をしている。これに対して我々はきちんとした反論をしないまま来ている。今度の裁判官はきちんと証拠を見るので、却下の申立てに対して、原告側はちゃんと答えていないのではないかと、書面を出せと言われるのではないかと、内心ビクビクしていたが、幸いなことにそこには触れずに過ぎたが、中電の更新弁論の書面を出しますかと聞いた。もらわなくてもいいけど、いかにも中味は無内容で、これまでの繰り返しで、こちらの書面と比べるとまことに説得力のないことを形で示させたかった。出さないと言うので、それはそれでいいけど、もう一つ、裁判長が阿部弁護士のDVDの法廷内での上映の申し出に対して、裁判官室で観るのでそれでいいではないかという発言をして、それ以上、どういう主張があるかを聞いたので、私が、公開の法廷できちんと証拠調べを行うことが大切だと言った。確かに裁判官が裁判室でDVDを見れば証拠調べにはなるが、みんなの目の前で証拠調べをする、つまり法廷で見るという意見を言った。裁判長はそれを踏まえて検討すると言ったので、さてどうなるか分かりませんが、機会があれば、また裁判官に上映OKしてくれるよう言おうかとも思う。

12:33阿部弁護士;前々からDVDは持っていた。前の裁判長は絶対に上映しないだろうと思って、今回出した。

司会;他に質問はありますか? 次回は11月14日(月)11:00~第19回口頭弁論。追加提訴についても考えたい。このあと、原告・弁護団会議の日程の調整をしたい。今日は大変ありがとうございました。
                                       12:34終了
(文責;長坂)


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浜岡原発永久停止裁判 第18回口頭弁論
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