浜岡原発永久停止裁判 第17回口頭弁論

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浜岡原発永久停止裁判 第17回口頭弁論

2016年2月22日(月)曇り
10:00 浜松市地域情報センターホールに原告や傍聴者が集まり始めた。
10:30 傍聴抽選のために、冬の季節なので、裁判所内の部屋が用意され、その部屋に集合した。
10:40 原告30席分を含め、傍聴席は満席となる。参加者 59人。

11:00 裁判が開始。
裁判長は古谷健二郎、右陪審は本松智、左陪審は稲岡菜桜、
   訴訟代理弁護団計20名の弁護団のうち、今日の参加者は13名
田代博之、大橋昭夫、森下文雄、塩沢忠和、阿部浩基、北村栄、杉尾健太郎、
佐野雅則、平野晶規、加茂大樹、北上紘生、栗田芙友香、青柳恵仁
被告側は国と中電で18名。

11:00 裁判長;原告ら、同じ準備書面ですね。原告側の2月16日付けの準備書面(15)について、口頭で主張する点の説明を行います。

11:01 青柳より、避難計画について述べる(以下、準備書面(15)を掲載、法廷では要旨を述べた)。

第一 実行的な避難計画の不備
1 避難計画策定義務の存在
原告らは2014年(平成26)年4月9日付提出の準備書面(6)にて避難計画策定の意義等について主張したが、以下にその具体的問題点等についての主張を追加する。
原災法に基づく読替え適用後の災害対策基本法では、都道府県防災会議及び市町村防災会議に対し、避難計画を策定しなければならないことを定めている(都道府県につき災害対策基本法第40条1項、同条2項2号、同項3号。市町村につき同法第42条1項、同条2項2号、同項3号)。もっとも避難計画の策定及びその実証は、いわゆる新規性基準の審査の対象外であり、仮に策定が未了または実効性のないものであっても、基準を充足しうる。
しかしながら東日本大震災による、福島県における原発事故により、極めて広範な地域が汚染され、多くの市民の生活が突如として破壊され人権が侵害されたこと、国際基準としてIAEA(国際原子力機関)が定める深層防護(多重防護)の「第5層」がシビアアクシデント発生後、施設外で事故に起因して放出された放射性物質の影響を緩和することを目的として、屋内避難や遠隔地への避難及びヨウ素剤の服用等に相当する対策を講じるよう定めていることからすれば、実効性のある避難計画の策定及びその十分な実証は、当然に稼働の必要条件である。

2 各地の原発の状況
(1)関西電力高浜原発
ア 概要
高浜原発は、福井県大飯市高浜町に所在する原子力発電所である。当原発は、原子力規制委員会の安全規制を満たし、かつ、府県を跨いだ大規模避難を必要とする初めての原発である。
避難の対象の地域は福井県及び京都府の2府県であり、原発から半径30キロメートル圏内(UPZ)に居住する避難対象の住民は約18万人に及ぶ。
イ 露呈している問題点
(ア)住民以外の市民の非想定
同原発における避難計画では、他地域から訪れた海水浴客による渋滞等が懸念されている。
    同原発付近には、丹後由良海水浴場や天橋立海水浴場など有数の海水浴場が立地しており、周囲の道路は、例年夏季に酷く渋滞する。しかしながら、上記避難計画では、これら住民以外の避難の必要性やそれによる渋滞が考慮されていない。
(イ)複合災害(豪雪)の非想定
福井県全域及び避難経路にあたる京都府舞鶴市、綾部市、南丹市等は豪雪地帯とされており、豪雪による広範囲の通行止めや交通渋滞が考えられる。しかしながら上記避難計画ではそれらが想定されておらず、積雪時にシビアアクシデントが起これば、通行止めや渋滞により避難経路は大混乱となってしまう。
(2)四国電力伊方原発
ア 概要
伊方原発は、愛媛県西宇和郡伊方町の佐田岬半島に所在する原子力発電所である。当該原発においては、平成27年10月、政府が当該原発に係る避難計画を了承した。また同年11月8日と9日には、同計画に基づき、その検証を兼ねた避難訓練が実施されている。
当該原発の事故により避難の対象となる住民は1万3000人に及ぶ。原発から半径30キロメートル及び半径50キロメートル外への早期避難のためには、東側(松山市方面)に避難することは困難であり、そのほとんどが豊後水道を越えた大分県に避難することとなる。そのため豊後水道を越える手段としては、愛媛県三崎港から大分県大分港及び佐賀関港に民間のフェリー船と海上自衛隊の艦船を用いて輸送することとされている。
イ 露呈している問題点
(ア)港湾への避難市民の殺到
愛媛県側から豊後水道を越えて大分県側に避難する場合、その始点は愛媛県の三崎港のみとなる。そうすると、いち早く避難したいと思う住民が三崎港に殺到することが予想され、三崎港への経路の渋滞や混乱が容易に想定できる。
(イ)複合災害(地震・台風)の非想定
 まず、同原発の船舶による避難方法においては、地震による港湾施設の崩壊といった、船舶の接岸不能という事態が想定されていない。実際、東日本大震災においても地震及び津波によって、極めて広範囲の港湾施設が破壊された。仮に原発事故時、三崎港の港湾設備が破壊された場合、船舶は接岸できず、市民を輸送することは不可能となってしまう。また、台風等による強風時・高波時の船舶の航行不能という場合も想定されていない。
     同地域は、毎年複数の台風に晒される場所であり、原発事故時に台風が接近している可能性も高い。強風・高波時では船舶の航行も極めて困難となり、市民を輸送することは不可能となる。

3 浜岡原発における避難計画
(1)現況
平成27年7月21日の時点において、静岡県危機管理部原子力安全対策課が、「浜岡地域原子力災害広域避難計画の策定状況」(以下「本策定状況」と呼ぶ。)として、公開している。静岡県は、平成27年度末までに避難計画を完成させるとしている。
(2)策定方針
本策定状況によれば、以下の策定方針が定められている。
①避難計画の対象(「原子力災害対策を重点的に実施すべき区域」内の市町村)は11市町村に居住する約94.6万人を対象とすること
②大規模地震との複合災害も考慮し、避難計画対象者全員についてあらかじめ避難先の市町村を定めておく。
③原子力災害が単独で発生した場合等に備え、まずは静岡県内市町、加えて隣接県や東海地方の県に避難先を確保する。
④大規模地震との複合災害時などで③の避難先に避難できない場合に備え、関東甲信越地方や北陸地方の都県にも避難先を確保する。
⑤実際の避難の際には、原子力災害の状況(避難対象範囲、人数を含む)や地震・津波の被災状況等を踏まえ、避難先に受け入れ可能かどうかを確認した上で、避難を実施するものとする。(以上、平成27年7月21日付「本策定状況」1頁)
(3)主な避難先
策定方針②及び③に基づき、単独災害の場合は、避難先自治体は県内の市町となり、静岡市、富士市、沼津市、伊豆市及び浜松市などが挙げられている。
一方、複合災害の場合は、関東甲信地方及び北陸地方の各都県とされている。
避難先の受け入れの協議にあたっては、各周辺都県及び市町村に対し、以下の留意点を示すこととしている。
①避難所は、原則、避難先市町村が指定する避難所とする。
②原則として、学校については体育館のみとし、その他の公共施設(公民館等)は、全施設とする。
但しその他の公共施設については、規模や各施設の管理形態等により、避難先として除外することができる。
③避難者の受け入れ期間は原則1か月程度とし、それ以降はより広範囲での移転等については、静岡県、国により調整する。
④避難所開設等の避難所運営の初動対応(3日間程度を目安)は避難先市町村で対応するものとするが、できる限り速やかに避難元市町に引き継ぐものとする。
⑤避難退域時検査及び除染、または汚染していないことの証明は、静岡県内で行うものとする。
⑥避難所の受け入れ可能人数の算定に当っては、原則、避難先都県、避難先市町村の基準を用いることとする。その基準がない場合は、一人あたり3平方メートル(有効面積)を目安とする。
⑦食料や資機材については、原則、避難元で準備する(避難者が調達する、避難元市町が調達すること等)こととし、避難先市町村であらためて備蓄をしていただくことはない。なお、初動対応時において、既存の備蓄等の範囲内で避難先市町村に協力いただいた場合、避難元で費用の負担をするものとする(原子力損害の賠償に関する法律を活用)(以上、平成27年7月21日付「本策定状況」9頁)。
(4)防災実動訓練の実施
平成28年2月3日、浜岡原発から半径31キロメートル圏内の11市町村の住民約300人を対象に、浜岡原発の放射能漏れ事故を想定し、上記避難計画をもとにした防災実動訓練が実施された。防災実動訓練の内容としては、バスによる移動訓練、避難退域時検査場所の検査訓練、病人・高齢者等の要配慮者対応訓練、ヨウ素剤配布訓練等が行われた。

4 浜岡原発における本策定状況に基づく避難計画が机上の空論であること
中部電力浜岡原発においても、上記2つの原発同様、実効可能性が全くない避難計画となってしまっている。また平成28年2月3日に行われた防災実動訓練でもその重大な欠陥が浮き彫りとなった。
(1)県外の避難先の未確定
本策定方針では、複合災害が発生した場合に備え、県外の避難先も確保することとなっているが、現時点において、本策定状況では関東甲信地方及び北陸地方の各都県と「協議中」となっており、いまだ避難先が確定していない。避難の対象となる市民としては、避難生活を送る場が確定されていないことは、重大な不安となってしまう。
(2)複合災害(地震)の影響の想定不足
本策定状況によれば、複合災害発生の場合、県外への避難経路のほとんどが、幹線道路(東名高速道路及び新東名高速道路)を使用することとされているが、橋脚の破損、路面の断裂などがあれば通行は困難、場合によっては不可能となる。東日本大震災では東北自動車道などについては、応急修繕がなされ、比較的早くに通行ができるようになったが、東京電力福島第一原発における事故によって放射能汚染が認められる区域の修繕は立ち入りが認められず、応急修繕がなされなかった。浜岡原発の場合、東名高速道路及び新東名高速道路がいずれもUPZ内を通過していることから、複合災害により、東名高速道路及び新東名高速道路が共に応急修繕などなされることなく、長期間通行不能となることも容易に想像できる。長期間の通行不能という事態は、避難市民の長期間の避難区域内の滞留、そして長期間の放射線被爆を意味する。
(3)隘路による交通渋滞の可能性が看過されている点
仮に避難に用いる道路に支障がないとしても、容易に交通渋滞が発生してし、市民の避難が大きく遅れてしまう。本策定状況によれば、原子力災害対策を重点的に実施すべき区域から避難する市民は、仮に放射能物質放出前においても、汚染物質の拡散防止のため、避難退域時検査場所においてスクリーニング(放射能汚染検査及び簡易除染)を受け、汚染が認めらない場合には、汚染のないことの証明書の発行を受けることが義務付けられる。
一方で汚染が認められた場合は、車両であれば洗浄、市民であればウェットティッシュ等を用いた拭き取りなどを行わなければならない。
   避難手段としては、原則として自家用車による住民各自の運転とされていることから、このスクリーニングを受けるために避難退域時検査場所に避難市民が自家用車で殺到することになる。これが交通工学上の「隘路」(ボトルネック)となり、渋滞の原因となってしまう。避難退域時検査場所の想定設置数も現在のところ16箇所と避難の対象となっている市民の数と比して極めて少ない設置箇所である。また避難退域時検査場所に設置される、車両全体の汚染度合を調べるゲートモニターと避難者の表面全体の汚染度合を迅速に調べる装置は、現在県内にたった2台ずつしかない。迅速であるべき避難は、これらの障害によって妨げられ、数多くの市民が避難区域に滞留することとなってしまう。現に上記防災訓練では、十数台の除染に1時間ほどかかり、順番待ちの列ができてしまっていた。
(4)要配慮者対応の不備
浜岡原発より半径5キロメートル圏内には、放射線防護施設として御前崎総合病院、社会福祉法人賛育会東海清風園(特別養護老人ホーム)及び社会福祉法人御前崎厚生会灯光園(同)が存在する。このうち、御前崎総合病院では、入院患者を退避施設に入れ、それと同時に、原発作業員などの被爆患者の初期治療を行わなければならない。地震があった際は病院スタッフの確保にも時間がかかることが考えられ、スムーズな要配慮者対応は極めて困難である。その他放射線防護施設における要配慮者も同様に困難であり、その対応の遅れ等により要配慮者の健康状態が悪化することも容易に想定できる。
(5)杜撰なヨウ素剤配布計画
上記避難訓練では、掛川市にてヨウ素剤配布訓練が行われたが、ヨウ素剤の配布は、ただ単にその薬剤を市民に配るだけでは不十分である。適用するヨウ素剤がない3歳未満の乳幼児に対しては、その場で薬剤師が原薬とシロップを使って内服液を調合しなければならない。本策定に基づく上記避難訓練では、その内服液5リットルの調合に薬剤師でも10分以上かかるなど全く現実的でないヨウ素剤の配布計画となっている。

 5 結論
以上より、中部電力浜岡原発における避難計画は、複数の重大な欠陥を抱える、全く実効性のない避難計画であって、机上の空論というべきものである。このような避難計画のまま浜岡原発が稼働するようなことがあれば、避難区域内の住民は、重大な具体的危険に晒され続けることになる。また、これら避難経路の欠陥は、その多くが地理的な障害であるから、浜岡に原子力発電所があるかぎり、この問題の克服は不可能である。ゆえに同原発の永久停止こそが、具体的危険を回避できる最善かつ唯一の手段である。

11:05 代理人の大橋より述べる。いま青柳さんは、避難計画について述べた。住民の死活的問題だと述べた。私からは、使用済核燃料のことを述べたい。いわゆる核のゴミ、あるいは死の灰と言われているもので、これが一番重要であると考えており、書面に基づいて述べたい(以下、準備書面(15)を掲載、法廷では要旨を述べた。書面にない追加発言は( )で示した)。

第2 使用済核燃料の処分問題の未解決のもとでは、原子力発電の再稼働は認められるべきではない。
1 現在、浜岡原子力発電所内には3号機、4号機、5号機の使用済核燃料が6564体存在する。
  この使用済核燃料は浜岡原子力発電所に供された核燃料ウランが原子炉で核分裂した後のものであるが、核分裂後の使用済核燃料は、「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれ、桁違いに強い放射性物質を発するものである。(わが国では「高レベル放射性廃棄物」を使用済核燃料を再処理して生ずる「核分裂生成物」であると狭く定義づけているが、再処理が技術的に不可能な現状では限定的に考えることは有害である。)
  この「高レベル放射性廃棄物は核燃料の燃焼によって生じる「核分裂生成物」で、別名「核のゴミ」、「死の灰」と呼ばれている。原子力発電がなされた当初から「高レベル放射性廃棄物」をどのように管理し、どのように処分すべきであるかが議論されてきたが、現在に至ってもこの問題は工学的に何ら解決しておらず、人類や環境にとって大きな脅威となっている。
(今日の書面には書いていないが、原発を推進した元首相の小泉さんが警鐘を鳴らして、自分がやったことは間違いであった言っていることは、この点を指していることはご存じだと思う。)
2 今、全国で生み出された核分裂生成物は、広島の原爆の110万発分を突破していると言われている。
  核分裂生成物は確認されているものだけでも200種類位ある放射性核種の集合体である。この中には長寿命の核種と短寿命の核種があるが、代表的な核分裂生成物であるセシウム137の半減期は30年で、それが1000分の1に減るまでには300年を要するという。
  又、長崎原爆の材料となったプルトニウム239の半減期は2万4000年で、それが1000分の1になるまでには24万年も要するという。
  このように、核分裂生成物の毒性が自然に減少するには長い年月を要するが、中には数百万年も要するものもあるという。
3 この毒性をなくす方法は未だみつかっておらず、将来もみつかるとは思えず、結局、この核のゴミである核分裂生成物を人類の生活環境から隔離するしか方法はないと言われている。
  原子力発電所は、運転すればする程、使用済核燃料を発生させる。この使用済核燃料をどのように処理するかが人類と環境にとって焦眉の課題であるが、処分方法が考えられずに、いわゆる「トイレなきマンション」として原子力発電所が建設され、運転が継続された。
  それでは、一体、この核のゴミをどのように処分したらよいのであろうか。
  1つは、「直接処分」といわれる方法で原子力発電から出てきた使用済み核燃料をそのまま地下深くに埋めてしまうやり方で、現在、オルキルオト原子力発電所の立地するフィンランドのエウラキヨと
いう町にオンカロ(洞穴)と呼ばれる高レベル放射性廃棄物の直接処分場が建設されている。
  オンカロで使用済核燃料の最終処分が始まるのは2022年頃からであり、処分方法は地下400メートル以深まで処分のための坑道を掘り、網の目のように地下に張りめぐらされた坑道の床に穴を
あけ、この穴の中に円筒型の金属製容器に封入した核のゴミを埋めていくというものである。
  もう1つは、わが国で提唱されている「再処理」といわれる方法である。使用済核燃料を3センチメートルから4センチメートルの長さに切断し、それを硝酸で溶解する。ウランと核分裂生成物は硝酸に溶け出し、溶液となる。この溶液に有機物の薬剤を加えて、ウラン、プルトニウムと残りの核分裂生成物が分離される。この残りの核分裂生成物をわが国では「高レベル放射性廃棄物」と呼び、ビーズ玉のようなガラスを溶解炉で溶かし、これをステンレス製の薄い金属容器に入れて固体化される。これが「ガラス固化体」と言われるものである。そして、この「ガラス固化体」を30年から50年保管し、放射性物質から発せられる放射能が少なくなってから最終処分場に指定された300メートル以上の深さの地層に埋設されるという方法である。
  わが国では、上記のとおり、この再処理という方法を採用し、青森県六ケ所村の再処理工場にその役割を担わせているが、「ガラス固化体」を作る溶融炉のトラブル等で稼働の見通しは立っていない。この「ガラス固化体」の表面線量は、ごく短い時間で致死量に達する程、放射能が強い。
  わが国では、2011年12月末時点でフランスやイギリスに委託して再処理してもらった「ガラス固化体」が青森県六ケ所村と茨城県東海村に合計1780本ある。又、同時点で、イギリスとフランスに再処理を委託した結果、発生した「ガラス固化体」の未返還分が872本存在する他、再処理をすれば約2万4700本の「ガラス固化体」が生み出される使用済み核燃料が各地の原子力発電所と六ケ所村の再処理工場に存在している。
4 この六ケ所村の再処理工場は、上記のとおり、当初予算の3倍近い約2.2兆円もの巨費が投じられたにもかかわらず、未だ本格的に稼働ができていない。
  六ケ所村には国際原子力機関の職員が常駐し、核兵器の材料となるプルトニウムが単体で取り出されないよう看視している。そのために、再処理時にはウランとプルトニウムから硝酸を取り除く作業があるが、プルトニウムには焼えないウラン238が含まれた形で脱硝酸される。ウランとプルトニウムが混合した燃料はモックス燃料と呼ばれ、高速増殖炉「もんじゅ」で使用されることになっていた。しかし、高速増殖炉「もんじゅ」も巨費が投じられたが、事故続きで、廃炉の運命をたどることが予想されている。
  上記の如く、使用済核燃料からウランやプルトニウムを取り出して、再び核燃料に加工してプルサーマル発電などで再利用しようとする核燃料サイクルも行きづまり、破綻しているというのが現実である。
  因みに、世界で核燃料サイクルを実現した国はない。核のゴミをわが国で再処理することもできず、フランスもイギリスも最早これ以上引受けてくれない現状や、自然界にないプルトニウムが、発電をすることによって、さらに大きな量のプルトニウムを生みだすという夢物語のような核燃料サイクルの破綻を考えると、原発再稼働の結論は見えている。原発を再稼働すれば使用済核燃料が増え続け、各地の原子炉建屋内の貯蔵プールは数年で満杯になり、浜岡原子力発電所でも、5,6年で満杯になり、使用済核燃料を冷やすことが不可能になる。この一事をしても、原発の再稼働は将来世代に大きな危険を負担させ、現代を生きる者に対しても大きな脅威を与えることは目に見えている。
5 「高レベル放射性廃棄物」は、長期にわたる管理、隔離処分が必要で、しかも、1万年をはるかに超える期間が必要とされる。このために、国際原子力機関は、「高レベル放射性廃棄物」を地下に埋め捨てにする「地層処分」を勧めている。
  わが国では、2000年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定され、原子力発電環境整備機構(NUMO)が設置され、この機関に最終処分地の選定、最終処分場の建設、廃棄物の埋設、管理を委託している。NUMOは同法に基づき2002年12月に文献調査(高レベル放射性廃棄物処分施設の立地候補地選定過程の最初の段階で、処分施設の立地候補地の公募に対する市町村からの応募が行われた後、概ね2年で、次の段階である概要調査地区の選定を目的とし、公開された文献その他の資料に基づき、将来にわたって、地震、噴火、隆起、侵食その他の自然現象による地層の著しい変動の生ずる可能性が高くないか評価するための調査)への公募を開始し、2007年1月、高知県東洋町が応募したが、町民の反対が強く、それを推進した町長も町長選で落選したため、同年4月には、その応募も撤回された。
  2009年には公募方式の他、「国からの申し入れ」の併用が掲げられたが、未だ最終処分地の選定はされず、将来的にもされないものと思われる。
6 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が予定する地層処分が可能になるには、万年単位に及び、超長期にわたって安定した地層が必要になる。すなわち、過去に地震や火山活動、地殻変動が活発に生じている地域と活断層の存在する地域を除き、将来的に断層が活動する可能性が全くないという地域が必要であるが、わが国には、そのような場所はない。
  さらに、地層処分では、「高レベル放射性廃棄物」が地下水、ことに動きを伴う水に接することを避けることが最も重要だとされる。「高レベル放射性廃棄物」などが流動する地下水に長期間にわたって接した場合、いかに堅固な物質の金属容器で固体化され梱包されたとしても、数万年に及ぶ隔離期間中に、放射性核種が地下水によって溶け出し、地下水の流れと共に拡散する可能性がある。
  2002年、NUMOと同時に設立された原子力研究開発機構の岐阜県瑞浪市の地下研究施設(「超深地層研究所」)では、立坑の掘削で予想外の湧水があり、初期段階で難航したというが、わが国では、本来は、基盤の不透水層となるような堅く緻密な岩石でも、岩体に亀裂が多く、透水性を有していることが多いという。
  地層処分に不可欠の条件は、地質の安定と地下水と高レベル放射性廃棄物が接触しないことであるが、わが国の地層に、それを満たす所はなく、わが国における地層処分は不可能であると思われる。
7 半減期の長い放射性物質を半減期の短いものに変えるという「核変換」などという研究も行われているが、それが近い将来に実現する目途は全くたっておらず、このように、使用済核燃料の処理が未解決のまま、川内原発や高浜原発は再稼働するに至ったが、余りにも無責任である。
  2012年9月11日の日本学術会議による「高レベル放射性廃棄物の処分について」の提言は、わが国の原子力発電の大局的政策を策定する上で重要な要因であると指摘している。この提言は、原発を再稼働し、核のゴミを増やし、将来世代に対する危険負担を招来することへの警鐘として、素直に読むべきである。使用済核燃料処理の対策がなされていない現状では、浜岡原発の再稼働も到底ありえない。
8 なお、本項の最後にあたり、被告中部電力が浜岡原子力発電所内に保管してある使用済核燃料を今後どのように処理するのか、その具体的方策について釈明を求めるものである。既に、原発内にある使用済核燃料の処理の方策なくして、原発の再稼働は許されないと思うからである。

11:14 代理人の杉尾から本県の浜岡原発の想定される津波、その対策について、いくつか釈明したい(以下、準備書面(15)を掲載、法廷では要旨を述べた。書面にない追加発言は( )で示した)。
第3 被告中部電力準備書面(3),第2「本件原子力発電所の津波評価及び津波への対応について」に対する求釈明
 1 2014年6月に策定された原子力規制委員会の「実用発電用原子炉に係る新規制基準」は,津波対策の大幅な強化のために,「既往最大を上回るレベルの津波を『基準津波』として策定し,基準津波への対応として防潮堤等の防護施設を要求」し,「津波防護施設等は,地震により浸水防止機能等が喪失しないよう,原子炉圧力容器等と同じ耐震設計上最も高い『Sクラス』とする」ことを求めている。
   そして,巨大津波の襲来が予測される浜岡原発においても,津波の高さなど及び津波防護施設等の安全性の検証がきわめて重要となる。
(被告中部電力もこの点は認識しており、被告準備書面(3)において、南海トラフ検討会の最新の知見を踏まえて安全である、津波が来ても防波壁を逸流することもなく、津波はいつきても大丈夫、安心してくださいという中身だ。しかしその根拠が難しくて、納得ことができない、安心することができない)
   そこで,被告中部電力に対し,以下の諸点についての釈明を求める。
 2 基準津波の策定と水位の上昇について
 (1)津波の波源モデルの設定について
    被告準備書面(3)29ページでは,「敷地に最も影響を与える津波をもたらす波源モデルは…『南海トラフのプレート間地震』における『プレート境界浅部で大きなすべりが発生するケース』に更にすべり量の不確かさを考慮したケースである」としているが,この波源の場所,水深,海水面の最大上昇の数値,最大下降の数値はいくらであるのかを明らかにされたい。
 (2)沿岸部での津波高さについて
    被告中部電力準備書面(3)94ページ,図35は,基準津波が押し寄せたときの各位置での水位高さを示しているところ,沖合約600mの位置にある4号取水塔での津波高さが19.8mとなっている。当該地点において,敷地からの反射波の影響を考慮しなければ,津波高さはいくらであるのかを明らかにされたい。
 (3)防波壁前面での津波高さについて
    被告中部電力準備書面(3)29ページでは,「基準津波による防波壁前面における最大上昇水位はT.P.+21.1m」としているが,当該地点において,防波壁がないものとした場合の津波の水深,進行速度,敷地高さを明らかにされたい。
 (4)津波評価に使用した海底地形および陸域の地形について
    被告準備書面(3)28ページでは,「津波評価に影響を与える海底地形及び沿岸地形については,最新の文献等に基づくものとしており,特に同発電所周辺の陸域については,被告が行った航空レーザー測量結果を反映した詳細なものとしている」が,当該測量データーを明らかにされたい。
    また,沖合約600mにある取水塔位置から,波打ち際,砂丘,防波壁,発電所敷地にいたる津波進行方向の縦断線形について,3,4,5号機の位置で明らかにされたい。
    さらに,津波評価にあたって,地震及び津波による砂丘の地形変化を考慮したか否かについて明らかにされたい。
 3 砂等の移動について
 (1)基準津波に伴う砂移動による発電所敷地前面の地形変化について,検討手法及び数値シミュレーションの計算方法,結果を明らかにされたい。
 (2)発電所敷地前面に存在するテトラポットの流出について,どのような検討を行ったのか明らかにされたい。被告は,かつて模型実験を行ったようであるが,その結果を明らかにされたい。
 (3)発電所敷地前面の砂丘について,幅60~80m,高さ10~15mあり,かつ適正に植栽があって,津波に対して抵抗力があるなどと被告は主張してきたが,現在の砂丘の状態,植生などを明らかにするとともに,現在でも同砂丘は津波に対して抵抗力があると認識しているのか否か明らかにされたい。
 4 防波壁の設計について
 (1)洗掘について
   被告中部電力準備書面(3)では,「(防波壁)の基礎については…洗掘による影響を受けにくいものとする」としているが,防波壁周辺の洗掘対策としてどのような方法を採っているのかについて明らかにされたい。
 (2)基準津波の設計波力について
   防波壁1mあたりの設計波力の計算方法及びその結果を明らかにされたい。
 5 引き波によって取水塔からの取水が不可能になることについて
 (1)被告準備書面(3)94ページ,図35は,基準津波が押し寄せたときの各位置での水位高さを示しているところ,沖合約600mの位置にある4号取水塔での水位低下を-7.5mとしているところ,この地点での海底地盤の隆起を検討したか否か,検討したとすれば隆起はどの程度と想定したのかを明らかにされたい。
 (2)被告は,水位が取水口の高さを下回る時間を,5分程度の間としているが,当該時間の計算方法及び数値結果を明らかにされたい。
 (3)地震によって本件各原子炉を緊急停止した場合,3,4,5号機の各原子炉について,時系列にしたがって,冷却水の必要量を明らかにされたい。

11:21 裁判長;被告中電は、原告の準備書面(15)について、趣旨の確認はあるか。

被告・中電;特にこの場で尋ねることはなし。

裁判長;それから、今後のことは?

被告・中電;求釈明の点もあるので、次回期日に提出になるかどうか分からないが、内容を検討して対応を考えたい。

裁判長;原告の準備書面には追加主張もあり、求釈明もあるので、検討してほしい。
前回に、昨年の工事の完了を見通したときに、変更になったという話だけであったが、今年の状況は?

被告・中電;現時点における4号機の目標工程は、平成28年9月末をめどにしていることは変わらない。
   一方、4号機、3号機の適合申請をして、いま4号機の審査を受けているので、これと並行して会社でも検討をしていて、現時点では目標工程は変更ない。

裁判長;工事が一部完了したと報道されているが、裁判所としては、反論主張が出てくればそれとして考えるが、今回は主張はないのか。

被告・中電;今回はない。

裁判長;次回主張がなければ、主張の見通しの説明をしてほしい。申請基準の関係で変更なしと思うが、確定的でないかというと、あるかもしれないし、次回、見通しの説明をしてほしい。

被告・中電;次回期日までに言える範囲のことで申し上げたい。

裁判長;国の方は?言うことは?

被告・国;特になし。

裁判長;原告は?

原告・大橋弁護士;いまのところ、また考えている。

11:26 裁判長;今日はここまで。次回期日について、6月は?

被告・中電;一番入りにくい時期だ。

裁判長;5月に入らないか?

原告・大橋弁護士;こちらも準備している。考えているものもある。6~7月は問題もあるので、5月でどうか。

裁判長;5月30日(月)でどうか。

被告・中電;差し支えあり。

原告・大橋弁護士;6月6日(月)は?

裁判長;裁判所は入っている。

原告・大橋弁護士;一週間さかのぼって5月23日(月)は?

被告・中電;別の予定が入っている。

原告・大橋弁護士;遅い時間はだめですか?

被告・中電;とてもだめです。

原告・大橋弁護士;6月13日(月)はダメ?

被告・中電;だめです。

裁判長;7月4日(月)は?

被告・中電;OKです。

裁判長;では、次回は7月4日(月)11時からとする。
                                       11:29終了


11:38 地域情報センターで報告集会
司会・中谷信和;今日は事務局長の落合さんが議会の常任委員会に出席でたぶん、間に合わないと思う。今日は59名の参加だった。裁判の内容について簡単に報告をお願いします。法廷全般について。

大橋弁護士;久しぶりの法廷だった。結果的に次回は7月になってしまったが、その間運動を強めて、浜岡原発を絶対に廃炉にさせるという方向で、そのためのいい期間だということにしたい。
今日は、準備書面(15)を提出した。3人で別々に報告したので、それぞれで手短に報告する。

青柳弁護士;今回の書面のうち、避難計画を担当した。ご存じのように、避難計画は、いわゆる新規制基準で、審査の対象になっていない。理論上は避難計画がなくても、あっても、ずさんでも、審査に入ってしまう。しかし、避難は市民の生活に直結するものであり、IAEAの基準の深層防護の第5層で避難計画は設置しなさいとなっている。それがある以上、仮に審査外であっても当然それは考慮されなければならない。
主張の中身は、近年、浜岡原発以外でも避難計画に基づいて避難訓練がされていて、関西電力高浜原発、四国電力伊方原発で避難計画を作った上で避難訓練をしている。両原発とも避難計画には穴があって、実際には計画通りにはいかない。では、浜岡原発はどうか。市民の参加で、避難訓練がされた。しかし、重大な欠陥が浮き彫りとなり、県外の避難先の未確定で、全く実効性のない避難計画であって、机上の空論というべきものである。浜岡原発の永久停止こそが、具体的危険を回避できる最善かつ唯一の手段である。

11:41 大橋弁護士;ありがとうございました。本当に無責任だと思う。浜松市では、落合さんの話だと避難計画がまったく決まっていないと。住民の命と健康を守らなくてはいけない自治体で、避難計画が作られていないなんて、再稼働はあり得ない。しかし実態はそれとは違う。
私の方からは、小泉さんと細川さん、特に小泉さんが言っている、いわゆる「核のゴミ」、使用済み核燃料処理方法が未解決なのに何で原発再稼働できるのだと、ワンフレーズで言っている。その通りだ。いまの浜岡原発の中には、使用済み核燃料が貯蔵プールの中にそのままあって冷やされている。4号機がいま審査されているが、再稼働すれば使用済み核燃料を冷やさなくてはいけないので、貯蔵プールは満杯になる。公式には5~6年で満杯という。では満杯のものをどうするか。中間貯蔵の方法も決まっているのではない。どういうことかと言えば、六ヶ所村再処理工場で処理すると。ウランとプルトニウムを取り出して、残りの放射性物質を、ビー玉のようなもので溶かして固めて、ガラス固化体にして、ステンレス容器の中に入れて貯蔵する。中間処理するところもいまや青森の再処理工場もいま止まっている。フランスやイギリスがガラス固化体を、儲かるために請け負ってくれていたが、しかし自分の国の国民も許してくれない。極東の遠い国から持ってきて、なぜ自分の国で危険にさらすのかと。もはや受け入れてくれない。そうすると、自分の国で処分しなくてはいけない。わが国では最処理の方法は決まっていない。
もう一つ、「核燃料サイクル」、さっき言った使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出して再利用するという。福井の高速増殖炉・もんじゅ、燃やした以上のプルトニウムができると。自然界にないプルトニウムだと。資源のない国でどんどん使わなくてはと、夢のような核燃料サイクル計画であったが、もう破たんしているのは明らかだ。だから使用済み核燃料問題が解決しなければ再稼働してはいけない。当然のことだ。どんどん放射性物質がたまる一方だ。処理もしない。あとはどうするか、次世代で考えてくれればいいではないかと。こういう無責任な態度だ。
オンカロ、フィンランド語で洞穴と言うらしいですが、フィンランドで、直接処分、地中深く洞窟が掘られて、立坑、横穴も掘って、その中に使用済み核燃料を埋めてしまう計画だ。日本では不可能だ。なぜか。一つには火山がある、地震が多い。地殻変動が多い。適地は日本全土にはまずない。一番不都合なことは、地下水が豊富だということ。放射性物質と地下水に混ざることは非常に危険なことだと、地学者が言っている。こういう国では、地中に、仮に400m以下の地下であっても置くのは無理ではないかと。現在のところ、もはや再処理の道はない。再処理どころか、最終処分もいくらたっても決まらない。高知県東洋町の町長が、自分のところに持ってきましょうかと手を挙げたが、しかし町民の不信任をくらって、次の選挙で落選。それ以降は、もう手を挙げる自治体はない。手を挙げたら、住民の反対運動はすさまじいものだと、こんなことはできない。できないことだらけの問題。最終処分は決まらない。
これからどうやっていくか。日本学術会議が具体的に提案しているが、やはりいま、浜岡原発などで、地中深く掘って埋めておくしかないと。最終処理の方法が確立した時にまた考えればいいと。それが現実的だと。こういう方法で最終的に行かざるを得ない。
しかしいま以上に危険なことをやるわけにはいかない。御前崎市民にとって、いまでも6千本以上ある、そんな危険なものが、自分の地域にある、再稼働すればどんどんまた増える、地中深く埋めればいいというのは無責任だ。
やはり使用済み核燃料問題、やはりトイレなきマンション状態で原発は動かすことはできないと、裁判所に訴えた。

11:48 杉尾弁護士;分からないことの求釈明をした。内容は津波とそれに関する砂や防波壁などのことを聞いた。落合さんが書いたことを私なりに理解して質問をした。落合さんがいれば落合さんが聞くのが一番よかったが、今日は出られないということで、私が行った。
先日、東海大学の先生を招いて聞いたご意見も元になっている。中電は防波壁が大丈夫だと言っているが、書面を見ても根拠がよく分からない。安心してくれと言っているだけだ。
こちらの問題意識は、中電は防波壁では後手に回っている。おそらく中電は、6m程度の津波を想定して最初防波壁を計画した。その後、いろいろと新しい知見が出てくるに従って、防波壁の高さを増していって、最後に南海トラフ検討会で19.6mの津波がくるとなり、18mでは足りないと分かって、4m継ぎ足したといった感じで、当初も6mの津波を前提にした防災計画は基本的に変えていないのではないではないかと。南海トラフ検討会で想定する21mを超えるような津波を来たときには、どうなのかとそういう問題意識がある。そのあたりを明らかにするために聞いたつもりだ。正直、求釈明に答えるかという思いもあるが、いろんな深慮遠慮を言うと、そういうことを聞く可能性がある。津波問題、防波壁の問題が大きな争点になると思う。

大橋弁護士;ありがとうございました。次回は、原告・弁護団の代表者で5月ころを考えていたが、7月4日になった。時間があるので、いい時間だと思って原告を増やしてほしい。
また北村さんから報告があると思いますが、この声の小さい裁判官のことを誰か言ってたが、あれをそのまま書記官に伝えることはできないが、今日は比較的声が大きかったですね。
その声の小さい裁判官が、この4月で転任だ。次の新しい裁判官のもとで、河合先生の作った映画を見てもらおうと。本庁の裁判ではやっているので、その計画を持っている。少し時間が先になったが、よろしくお願いします。

11:52 司会・中谷;今日の裁判を傍聴して、およそやる気がないというか、サボタージュしているというか、逃げているというか、中電の姿勢は被告として情けないなと思ったが、中電はいま、3号機、4号機の再稼働申請と、5号機の申請を考えている。それと工事をしている。それと我々側の裁判と署名が拮抗して、どちらが勝つかという状況ですが、中電のあの態度について、弁護士から何かコメントは?

阿部弁護士;中電の訴訟遂行は、あまりたくさん反論して、原告に情報を与えない姿勢に終始していると思う。こちらに対して逐一の反論ではなく、再稼働をやってしまえばいいと。法廷であまり議論をしない、法廷が熱くならないようにしたい態度だ。原告の求釈明に対して、ちゃんと反論して、釈明してもらうしかない。

11:55 司会・中谷;では参加者から感想、意見を自由にどうぞ。

参加者;開廷前に声を「もっと大きな声で」と声を出したが、あのような形でしかできないのではないかと。本当は、もっと被告・弁護人には「発言が足らないな」と言いたかった。妨害に当たると思い、あの程度にした。求釈明は非常に分かりやすくてよかった。

司会・中谷;他に?

桜井;求釈明して点について。1000~1200ガルに耐えられるというが、どこがどれだけ耐えられるのか?たとえば、配管にはいろんな場所があるが、原子炉建屋とタービン建屋の間のいろんな場所の配管の強度、格納容器に接続しているところの配管、特に配管について詳しく聞きたい、1000~1200ガルはどこのことをいうのか。原子炉について詳しく示せと。一部は2000ガルといっている。数字を上げているだけで、いかにも安心であるかのようにいうが、実際はどうかわからない。
2000~3000ガルとか、実測の震度7.5もありうる。そういう揺れに保証できない数字を上げている。だから安全だという根拠、どこがどれだけ耐えられるかということを詳しく示した上で、だから大丈夫だと説明をしてほしい。そういう釈明を求めてほしい。

司会・中谷;関連して、改良しているといっても、元の格納容器、圧力容器自体は変えていない。その強度はもとのまま。改良したというが、どこを改良したのか、そこを中電は明らかにしていない。
杉尾弁護士が先ほど、防波壁の最初6m、それを22mにした時に、根を下に伸ばしたのかを知りたい。上に伸ばしても不安定な構造、簡単にひっくり返るが、その点を明らかにしていく必要がある。

11:59 大橋弁護士;その点、整合性もあり、どの程度やるか、我々も検討していく。ただ一つは、もっと素朴な疑問で行こうということも、何年か経過して考えていかなくてはと、我々の中で出ている。いまのことは、科学的論争ではない、基本的なことだが、あんな危険なものでいいのかという、樋口裁判長が出したあのような議論に基づいてやっていかないといけないと思う。
科学論争をまったく否定するわけではない。安全のことは事実の問題だから、それも取り上げていきたい。よろしくお願いします。落合さんのように、具体的に文書で出してほしい。

12:00 司会・中谷;2011年3・11から5年になる、裁判も5年経った。改めて、これまでのことをきちんと振り返って、改善すべき点は、裁判闘争も改善していく、見直していくことが必要。
今日のことで質問や意見は?

参加者;先日、中電の原発視察に行った。その時質問したら、いとも簡単に返事したものと、全然答えようとしないものとがあった。津波高の問題は、どうなのかと聞くと、6.1mを3倍にして今の高さだと説明。1mあたりの水の圧力はどうかというと、1mあたり280トンだと、やけにパッ、パッと答える。分かんないだろうという感じだった。
テトラポットは動くのかと質問すると、あんな重いものはごろごろと転がることはあるかもしれないが全然心配はないと。洗掘はどうかと聞くと、内側はL字形で対応してある。海側の外はどうですかと聞くと、砂丘の下は固い地盤で大丈夫だと。信じられない答えだった。防波壁のテストはどこで、どうやってやったのかと聞くと、何とか中央研究所でちゃんと結果が出ていると。それがどうなのか分からないが。田中先生がどこかでかなり大きな実験をやるということを聞いたが、その時は立ち会うことはできるのか。
使用済み核燃料のこと、乾式キャスクの現場を見せてもらったが、最初4000体近くが、地盤が軟弱だったので2000体近くになったと。どんな効果があるのかと聞くと、3~4年は延命できるという。浜岡原発そのものの再処理、六ヶ所村はまた延期になったが、もうすぐできるようになるので心配いりませんと、ものの見事に無責任な回答をいともしゃ~しゃ~と言ったということを、感想として報告した。

司会・中谷;他には?先日、岐阜の瑞浪の地層処分の研究をしているところ、超深地層研究所に見学に行ってきた。花崗岩層の300m地下まで竪穴を掘って、それから横穴を掘って、そこに処分するという。地下水がだあだあに出てくる。日本列島はそもそも無理だ。日本列島の地下をプレートが動いていて、必ずどこかが動く、そういうところでは最終処分は無理だと思う。最終処分が無理だと六ケ所村もダメ。そうすると、そこに置いてある使用済み核燃料を全部各原発に返すと。だから各電力会社は、原発の敷地内に乾式キャスクを作って、それが最終処分場になりかねない。これは運動でやることで、裁判では評価しなくてもいいと思うが、そもそも原発は止めるという裁判にしていかなくてはと思う。

12:05 北村弁護士;全国の状況を報告したい。2月に玄海原発は1万人の原告を達成した。原告を増やす運動は大変さがあるが、浜岡での700名の原告を集めるとりくみは素晴らしい。
高浜原発のいい判決が来月には出そうだ。昨年末、福井地裁で以前の仮処分が覆された。エリート裁判官がひっくり返した。JRはリニアで一生懸命やっているが、ウエッジという、グリーン車においている雑誌で、何回かに一度は原発大特集をしている。広告には大きな字で「脱原発はおかしい」と。再稼働反対はおかしいと。原発で死んだ人は一人もいないと。原発関連死はたくさんいるのに。一方で、火力発電は推進している。JRがでたらめな記事を書いている。
福井地裁の裁判官も3/11前だと、あの判決を出さなかったと思う。福島の原発事故をいつまでも忘れない。そしていま、原発は本当に必要なのかと。いま原発なくて平気だ。それなのに原発を続けている。裁判官も同じ思いではないか。
5周年が大事。風化している中で、思い起こしてほしい。マスコミの方にもお願いしたい。裁判官にも訴えたい。5月13日の本庁裁判で、「日本と原発」の上映が決まった。席が40%は埋まっていない。傍聴にぜひ参加してほしい。
最後に、我々は7月と先は長い。やることはいっぱい。裁判官が代わると、弁論更新ということで、これまでのことをしっかり分かってもらうことが必要。かなり時間をかけてやっていきたい。
原発の意見陳述をやっていきたい。5周年の機会に、そういう機会を設けて、被告代理人に聞かせたい。

12:12 司会・中谷;最後に、林先生から発言をお願いします。

林弘文代表;今日はご苦労様でした。3人の弁護士の分かりやすい説明だった。青柳弁護士の避難計画の話、これは静岡県の危機管理センターが2月9日に会見を開いた。3月下旬までに避難計画の策定をするということだったが、傍聴者から発言があった。傍聴者は発言できないことになっていたが、傍聴者が我慢できなくなって、そんな机上の空論の避難計画は止めてしまえと。実際に3月下旬に策定するという。県の危機管理センターが原案をつくり、委員が発言すると言う程度で、こんなことでいいのかと思った。
使用済み核燃料の問題、核のゴミの問題ですが、私はリニアモーターのことをやっているが、リニア新幹線は南アルプスを通るが、大井川の水が出ると。日本は地下水が豊富。地上からすぐに地下水がはじまる。原子炉から出てきた燃料をそこにおいたら、たちまち外に出てくるのは、火を見るより明らか。岡山大学で学長をやった河野伊一郎先生が「地下水工学」という本を書いている。そこに日本では地下水は高いと書いている。
三番目の津波について報告されていた。これは非常に難しい問題ですが、東海大学の田中弘道先生、静岡で講演、人間が作るものは必ず壊れる。原発は作っても必ず壊れる。地下にたくさんの死の灰があって、外に出るだろうと。津波については知りたいことがいっぱいある。杉尾弁護士が質問したように、中電から資料を出してほしい。どんな根拠に基づいてそういう計算をしているのか、聞きたい。岩手県、秋田県、島根県、ここでは業務委託ということで、地下水の計算を各大学に頼んでしている。残念ながら静岡では出ていない。インターネットで探したが、そういうのはない。どこでそういう計算しているのか、聞きたい。

12:16 司会・中谷;最後に訴えをしたい。西部の会で浜岡原発の50ページのカラーのパンフを、一年半かけて、9人の編集委員で一字一句に至るまでたたいてやっとできた。1000部作って、400円でお分けしている。学習とか読んでほしい。パンフを編集していて、まだまだ知らないことがいっぱいある。22問を2ページずつで作ったが、もっともっと勉強して、中電と国を論破する力を原告自身が作らなければいけないなと。原告の原告による原告のためのパンフです。原告団が100部注文すれば、一部300円でお分けします。
このあと、各原告団の代表の方は残ってください。原告団:弁護団会議の日程を決めたい。
                                       12:19終了
(文責;長坂)


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浜岡原発永久停止裁判 第17回口頭弁論
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